スティーブ・ジョブズ I
ウォルター・アイザックソン
講談社
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Blogで本を紹介しちゃいます。

スティーブジョブズ死去の報道。アップルファンの僕にとっては信じられないニュースだった。Mac、iPhone、iPad 。世界を変え、人を変えた革命的な商品を生んだ人物の死去。あと数十年ジョブズが行きていれば世界はもっと変わっていただろう。そんな折に出版されたのが本書。インタビュー嫌いなジョブズが40回にもわたるインタビューに答えた本人公認の書。日本での発売が1ヶ月も早まった。まさに、今しか読めない1冊だろう。世界を変えた偉人に興味のある方なら誰もが楽しめる1冊になっている。

本書ではジョブズ誕生からピクサー「トイ・ストーリー」公開までが綴ってある。iPhone発売は2巻目に書かれています。そちらに興味がある方はちょっとがっかりするかもしれません。原書では全1巻に収まっている本書ですが、日本語版では2巻に分けて発売されます。2巻は11月1日発売だそうです。

本書を読んで一番に感じた事は「天才と変人の紙一重」にいる人物だという事だ。彼は技術者でもなければエンジニアでもない。彼はコードを書くことも基盤の設計をする人でもない。彼が望むのは人を変える技術。そして、世界を魅了するデザインだった。デザインに徹底的に拘るのは精神は自宅に表れている。気に入った家具が無ければ購入しない。だから、彼の家はがらーんとしていたそうだ。今回はそんなジョブズの伝記の中から簡単ではあるが、彼の半生を紹介してみようと思います。

●スティーブジョブズ誕生〜

ジョブズは養子に出されていた。彼を養子に迎えたのはポールジョブズ夫妻だった。夫妻は子供に恵まれなかった。何度か子宮外妊娠を経験したが、子宝に恵まれることはなかった。そんな折に、養子を迎える事になる。それが、ジョブズだった。実の父親から「大卒の家庭」を条件に養子縁組を決める事になる。ジョブズは自分が養子だという事に気づいていたようだ。しかし、自分の父親は「ポールジョブズ」だと強く言っていたそうだ。
ポール・ジョブズとクララ・ジョブズを「養」親だと言われたり、「本当の」両親でないと言われたりすると、スティーブは激怒する。「ふたりは、1000パーセント、僕の両親だ」と。(p32)
元々頭のよかったジョブズ。子供の頃から自分は他人とは違う才能を持った子供だと自覚していたらしい。小学校を飛び級で上がったジョブズ。子供の頃に父親に教えてもらった自動車修理などの経験もあり機械いじりが好きだったというジョブズ。ホームステッド・ハイスクールの1年生が終わった夏休み、父親に送り迎えをしてもらいながらHPの工場で働いた。

ホームステッド・ハイスクールの2年生から3年生になる夏休みに、ジョブズはマリファナを始める。
「はじめてラリったのはあの夏、15のときで、それからよく使うようになった」マリファナをフィアットの車内に置き忘れ、父親に見つけられたこともある。「なんだ、これは?」ジョブズはあわてない。「マリファナだよ」珍しいことだが、父親は烈火のごとく怒った。「おやじと本気でけんかになったのはあのときぐらいかもしれない」しかしこのときもジョブズは折れなかった。(p51)
●おかしなふたり ふたりのスティーブ

のちにアップルの共同創業者となるスティーブ・ウォズニアックだった。彼はジョブズの5歳年上。彼はまさにギークにふさわしい天才だった。Apple気魎粟させたのも彼だった。
それから毎日、ウォズは仕事が終わるといったん家に帰り、TVディナーと呼ばれる冷凍食品を食べてHP社に戻り、コンピューター開発を進めた。自分のキュービクルに部品を並べ、一つ一つ、取り付ける場所を確認してマザーボードにはんだ付けをしていく。このマイクロプロセッサーでスクリーンに画像を表示するソフトウェアも書く。タイムシェアリングのコンピューターを使うお金がなかったので、コードは全て手作業で作成した。2ヶ月ほどで試作品ができるところまで到達した。「キーボードをたたいてみると…びっくりした!文字がスクリーンに表示されたじゃないか」こうして、1975年6月29日の日曜日は、パーソナルコンピューターにとって大きな一歩が記される日となった。(p110)
このマシンにジョブズは感激し、端末としてコンピューターにつなげるのか、記憶装置のディスクは追加できるのかなどといった質問を次々とウォズにぶつけた。(p111)
先ほども言ったように、ジョブズはエンジニアではない。Apple創業の中心には2人のスティーブ。ウォズの影があった。しかし、元々彼はマーケティングには無関心だった。彼は完成したApple気鯡欺で提供しょうと思っていたらしい。それを止めたのがジョブズだった。
「アップル気魍発したとき、ぼくはみんなにタダであげるつもりだった」(中略)スティーブ・ジョブズも、ウォズニアックが作ったモノーそれがブルーボックスであれコンピューターであれーが無償であるべきという考えに反対だった。どうせ、自分が1から作れるほど時間的に余裕がある人は殆どいないのだからとウォズを説得。回路図の無償配布をやめさせた。「それよりプリント基板を作って販売しょう」と提案した。ふたりは持ちつ持たれつだった。(p112)
●アップル供.縫紂璽┘ぅ犬量詭世
ジョブズの徹底した商品へのこだわりは若い頃から開花していた。それは儲かる儲からない以前の問題で、ジヨブズは商品の細部まで口を出し、指示をしていた。それは基盤の中まで。当時は前例の無かったプラスチックケースの発注を決めたのもジョブズだった。そらに、問題は電源にまで及ぶ…。
もうひとつ問題だったのが電源だった。ウォズニアックのようなデジタルのギークは、ごくふつうのアナログなもなどどうでもいいと思ってたいたが、ジョブズは電源が重要だと考えていた。ポイントは、冷却ファンのいらない電源とすること(彼はその後もその姿勢を貫く)。コンピューターのファンは「禅っぽくなかった」だ。集中力を乱されてしまう。(p130)
●ゼロックスとリサ グラフィカルユーザーインターフェイス

アップル気修靴騰兇念賁、アップルは新興企業のトップとして輝いていた。1977年の2500台から1981年には21万台とうなぎのぼり。しかし、ジョブズはいらいらしていた。アップル兇いつまでも売れ続けるとは限らない。それに加えて、自身がケースや電源コードまで細部に拘ったからといって、アップル兇慮績はウォズのものだった。自分のマシンが欲しい、いつしかジョブズはそう思うようになっていた。その答えがゼロックス社にあったのだ。ジョブズはこの技術に未来のコンピューター像を描いたらしい。
隠されていたものをテスラーに見せてもらったアップル陣は、皆、目をみはった。アトキンソンなど、ピクセルの一つひとつまでよく見ようとスクリーンに顔を近づけ、テスラーはその息を背筋に感じたほどだ。ジョブズは興奮して歩きまわり、手を振りまわしていた。「あまりに動きまわるので、デモが見えているのだろうかと心配になるほどでしたが、でも、きちんと見ていたのは確かです。次々と質問してましたからね。私が新しいなにかを見せるたび、彼かに感嘆符が飛び出していきました」ジョブズは、この技術をゼロックスが商業化してないことが信じられなかった。「これは宝の山だよ?それを活用しないなんて、ゼロックスはどういうところなんだ?」

スモールトークのデモには3つのポイントがあった。ひとつはコンピューターネットワーク化、もうひとつはオブジェクト指向プログラミングだった。しかし、ジョブズはこの2点にはほとんど注意を払わなかった。3番目のポイント、GUIとビットマップスクリーンに心を奪われていたからだ。「あのときは、目からうろこがぽろぽろ落ちたよ。そして、未来のコンピューターのあるべき姿が見えたんだ」。(p164)
●マック誕生〜

当初、マック構想を練っていたのはジェフ・ラスキンという人物だった。(マックとは、リンゴの品種「マッキントッシュ」に由来する)。彼はスクリーンもキーボードもコンピューターも一体となっていた機種だったそうです。値段は1000ドル以下。4人のスタッフと共に、細々としたプロジェクトから始動したものだった。そんなプロジェクトに噛み付いたのが、ジョブズだった。彼は当時、進行しいた「リサ」というプロジェクトから放り出され、暇を持て余していた。そんな彼が見つけたのが、マックのプロジェクトだった。当時、「めちゃくちゃすごい製品」を口癖のように言っていたというジョブズ。彼はラスキンに持ちかける。「値段のことは考えず、コンピューターの機能だけを考えてみてくれ」。

ジョブズが提示した機能は当時としては考えられない高機能なものだった。

「1行96文字が表示できる高解像度のカラーディスプレイ」
「リボンなしでカラーのグラフィックを1秒1ページ出力できるプリンター」
「ARPAネットに制限なくアクセスできるネットワーク」
「音声認識」

次第にジョブズは自分の理想とするコンピューターを作るため、マックチームの乗っ取りを試みる。後で書くが、このような傲慢な手法がのちにジョブズの運命を左右する事になる。

●現実歪曲フィールド〜

この本には「現実歪曲フィールド」という言葉が何度か登場してくる。マックチームにジョブズが用意した期間はたった1年。とても無理な要望だった。「この状況は、「スタートレック」の言葉が一番よく表現できると思う。スティーブには、現実歪曲フィールドがあるんだ」「彼の周囲では現実が柔軟性を持つんだ。誰が相手でも、どんなことでも、彼は納得させてしまう。」「カリスマ的な物言い、不屈の意思、目的のためならどのような事実でもねじ曲げる熱意が複雑に絡み合ったものーそれが現実歪曲フィールドです」

ジョブスの現実歪曲フィールドの一例として、こんなエピソードがある。

ある社員がジョブスの元にアイディアを持ち込んだ際、大ばか野郎と言われたそうだ。数日後、ジョブズに呼び出されていくと「すごいアイディアがあるんだ」と、数日前に聞かされていたアイディアを話し始めたそうです。ある意味では天才的であり、ある意味では自己中心的というのがジョブズ像だったりするのかもしれません。

●デザイン〜

ジョブスの徹底したデザインへの拘りは徹底的です。会議中、どん!っと電話帳を置いて。これがマックの高さの上限だと宣言する。「スティーブが図面を描くことはなかったわけですが、彼のアイディアやインスピレーションがなければあのデザインは完成しなかったのです」。Googleの創業者にしろマイクロソフトにしろ、IT企業の創業者の中には天才的な技術力で他を圧倒してきた歴史がありますが、ジョブズは技術的な事は特に知らなかったようですね。コードを描くことも、図面を描くこともしなかった。彼がしていたのは、気になるプロジェクトに首をつっこんで自分が欲しい商品を追求していたという事。それがAppleを世界一の企業に押し上げた。その事実だけで凄いです。

●スカリー登場〜

ジョブズの運命を大きく左右したのが、AppleのCEOとしてやってきたスカリーという人物だった。彼は元々ペプシの経営をしていた人物。ジョブズのくどき文句「一生、砂糖水を売り続ける気かい?それとも世界を変えるチャンスに賭けてみるかい?」はあまりにも有名です。

1984年を堺にして、徐々に売り上げを落としていくマック。一番の問題は、すばらしいコンピューターではあったが、その機能ゆえか動作が遅いという点だった。売り上げがどんどん減っていくアップル。ジョブズの行動が暴走してゆく。Aランクの社員いがいは要らないと、次々にメンバーを排除していくジョブズ。その行動に我慢ができなくなった社員、そして取締役、そして、スカリー。ジョブズに通告する「マックの開発チームから降りてくれないか」。ジョブズは猛反発する「嘘だろ…」。ジョブズはスカリーへのクーデーターを画策する。それを、1985年5月の7日間として総括してある。結果、ジョブズはマックの開発チームの統括を外れる事になる。

有能なメンバー数名を連れて、新会社「NeXT」を設立する事になる。
総務の人間がジョブズのオフィスを片付けに行ったところ、写真立てが床に転がっていた。写っているのは仲のよさそうなジョブズとスカリー。「すばらしいアイディア、すばらしい体験、そして、すばらしい友情に!ジョン」という言葉も添えられている。ガラスは割られていた。ジョブズが床にたたきつけたのだ。(p338)
そのとき、ジョブズはアップル株式の11パーセントにあたる650万株を所有していた。時価で1億ドルを超える量だ。その株を退職後から売りはじめ、5ヶ月で1株を残してすべて売ってしまう。1株残したのは、株主総会に出たいと思ったときに出られるようにするためだ。(p340)
今の現在の価値だと2500億円にもなる株式です。そのままジョブズが持っていたら、どういう未来が待っていたのでしょうか。

●ネクスト〜

ネクストでのジョブズは好き放題だった。自分が理想とするデザイン、自分が理想とするスペックのマシーンを自由に作れたからだ。ネクストの狙いは学校への販売だった。デザインだけで数億円。無人の工場まで作ってしまったジョブズ。結果はというと、デザイン性は優れていた。しかし、機械本体が高すぎたのだ。売れなかった。ジョブズの失敗である。

●ピクサー〜

今や世界のピクサーですが、元々はルーカスフィルムの一部門でした。その買収を打診されたのがジョブズでした。彼が提示した買収額は500万ドル(日本円で約4億5000万円)それに加えて、法人化するための資金500万ドルでした。のちにピクサー株が2000億円のおお化け企業になるわけですから、これは破格の値段だったのだと、今なら言えます。ルーカスはジョブズの買収についてこう述べています。
たしかに私は、それがエドとジョンの基本的な目的だと警告しました。でも、ジョブズがあの会社を買ったのは、たぶん、心の底では彼も同じ目的を持っていたからなのでしょう。(p372)
彼はピクサーが何度となく危機にさらされていてもアニメーションには資金を供給し続けたそうです。「ジョブズにとって、これは、心に深い喜びをもたらしてくれる魔法のような芸術の孤島であり、なにがなんでもこれだけは育てよう、これに賭けようと考えていた。」のちに、ピクサーをディズニーに売り、巨万の富を得たジョブズ。彼には天才的な千里眼が備わっていたのかもしれません。

とまぁ、以上が1巻の粗筋です。iPhone、iPadは2巻に続きます。