岳 -ガク- DVD通常版
岳 -ガク- DVD通常版
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東宝 (2011-11-25)
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岳が良いと友達や知り合いが聞かされていたが、TSUTAYAで借りてきて「ああなるほど」という印象を抱いた。長澤まさみ、小栗旬という2大若手俳優を起用し作品。冬の雪山にロケハン行った迫力満点な作品だ。人気コミック「岳 みんなの山」を原作に、山岳遭難救助をリアルに描いた山岳ドラマ。漫画が原作という事でちょっと不安でしたが、漫画未読の僕にとっては特に不都合な部分はなかったです。原作を読んだ方が楽しめるのかな?

北アルプスのとある山に、山岳ボランティアの島崎三歩(小栗旬)がいた。彼は根っからの山っ子。山で遭難などをした人をボランティアで助ける仕事をしていた。長野県警・山岳遭難救助隊に赴任してきた椎名久美(長澤まさみ)。山での遭難救助、そして山の現実に直面しながら成長してゆくストーリー。

本作は山がテーマという事。ネットやTSUTAYAの無料パンフレット情報によると北アルプスの雪山に実際にロケハンをして撮影した映像の数々。長澤、小栗両氏も山での実地訓練を行ったようで、体当たりのスタントにも自身で挑戦している。本作の魅力は何と言っても山々の風景だ。そして、山の現実に直面してゆく。つまり、何人もの登山者が映画中で死んでゆく点だ。山の恐ろしさ怖さを体感する場面。そこが本作の良い点だと思った。誰も死なず円満ハッピーエンドの作品にしなかった点は評価できます。

ただ、ストーリー展開が単純だったのが残念な点だったと思う。

基本的に「遭難する→助けに行く→助ける」という一連の流れが繰り返し行われている。山岳ボランティアである島崎三歩(小栗旬)の台詞は殆どない。自由奔放、山好きのお兄ちゃんという所だろうか。物語終盤の大事な箇所。椎名久美(長澤まさみ)が登山者を助けるため、ある決断した時、その中で成長した椎名久美(長澤まさみ)の姿がある。ここの表情に役者としての魂がこもっていると思った。こここそ力量が試される場面。女優としての貫禄たっぷりに演技する姿は、さすが若手実力派女優だ。小栗旬ファン、長澤まさみファンなら楽しめるはずだが、長澤まさみはやっぱり、長澤まさみだったりするし、小栗旬は小栗旬だったりする。決死の覚悟で望んだ登山者の救出劇、このラストに持っていくためのあからさまな伏線はどうかと思った。

この作品では食べ物がキーアイテムとなっている。それは男飯と称する「おにぎり」だったりするし、山のおばちゃんが出す「ばくだん」と呼ばれるチャーハンだったりする。チャーハンがうまそうに撮影されている。ナイス、カメラマン。

ただ全体をみると、良くも悪くも邦画的な映画になっている。「海猿」パターンですね。ハリウッド映画、例えば「アルマゲドン」でブルースウィリスが自身を犠牲にして仲間、そして世界を救ったような演出が欲しかったと思う。

正直に言えば、本作は山の風景を楽しむ、山の怖さを知るドキュメンタリー作品だと思った。その中に小栗旬や長澤まさみがいたりするんですよね。

日本映画として、これだけ壮大な作品は珍しい。作品としては面白い仕上がりになっています。気になった方は原作のチェックもお忘れなく。