てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~ [DVD]
よしもとアール・アンド・シー (2010-10-27)
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ナイナイの岡村さんがパッカーンになる直前に撮影された映画。プロモーション活動で色々な番組に出演したストレスが原因なのか、その直後に半年近い休業に入ってしまった。テレビ番組で映画の宣伝で大々的に行われていたので、気にはなっていたが、なかなか観れていなかった作品。たまたまGEOに置いてあったので、レンタルしてきました。サンゴを人口養殖をされた実際の人物「金城浩二さん」の自伝「てぃだかんかん -海とサンゴと小さな奇跡-」が映画の元になっています。

岡村さんと言えば、「岸和田少年愚連隊」や「無問題」などで主演をされていますね。テレビ番組「とぶクスリ」→「めちゃイケ」のコントなどで培った演技力が映画で生かされるのかもしれません。コント番組自体、今は殆ど無いのが残念な所ではありますが。

金城健司(岡村隆史)は幼馴染である金城由莉(松雪泰子)と結婚する事になった。友達のダイビングスショップの倉庫でサンゴをテーマにしたバーを開店。順風満帆、子どもも生まれ店は4店舗にまで拡大していた。ある時、海に潜った健司は海のサンゴが死んでいる事に気づいた。海の護岸開発が原因なのか、その事実にショックを受ける。そして、突如としてバーの閉店を決意する。健司はサンゴの養殖をするためだ。海のサンゴを守りたい、子どもたちに綺麗な海を残したい。その一心で健司はサンゴの養殖にチャレンジ。幾多の困難を乗り越えつつ、沖縄の綺麗な海を守る戦いが始まる。

岡村さんは俳優が本業ではないので、演技にはいささか不安を抱いていたが、金城健司はおっとりとした性格で「そうだね〜」「そうさ〜」などゆったりとした喋りが多い。演技という点では岡村さんの場面場面での表情が良かったと思う。言葉が少ない分だけ顔で表現する。これが、なかなか様になっているのが驚いた。でもこの映画での一番の功労者は妻である由莉を演じた(松雪泰子さん)でしょう。実力は女優と呼ばれる彼女を起用した事で、夫婦の掛け合いがよりいっそう現実的に見える。家族のために泣いたり怒ったり、場面場面で見せるその表情はまさに女優としての貫禄たっぷりだ。本編のストーリーはとてもシンプルだ。サンゴの危機に不安を抱いた健司がサンゴの養殖を成功させるまでのストーリー。

しかし、本作の魅力は何と言っても健司と由莉そして家族の物語だろう。

漁業組合でコテンパンにやられ、学会でもコテンパンにやられ、しかも500万円という借金まで背負ってしまう。人生のどん底だ。そんな健司の夢を支えるのが妻である由莉。自分の夢よりも家族の事を優先しょうとする健司に対して「そんなあなたは見たくない」と泣きながらぶつかる由莉の姿は見てみて愛らしいし、どこかパワーを感じる。正直に言えばサンゴはおまけなのかもしれない。事実、サンゴの養殖成功の過程はすっとばして割愛されている。

「みんながあんたの夢を信じているのに、なんで自分のことが信じられないの?」

由莉が健司に送ったメールの文面が泣ける。

「たとえ家が無くなっても、なみーとふうたと私はお父ちゃんについていくよ」

今となって死語となっている「夢や理想」といったものに真っ向から挑戦する姿勢に感動した。男が必死になって夢を追いかける、そして妻が献身的に支える。こんな時代に、このテーマに挑戦した事はすごいと思った。この映画の鑑賞後、家族に会いたくなる。家族に愛してると伝えたくなる。そんな映画に仕上がってると思います。小さな奇跡、タイトル通りの映画なのかもしれない…。