今、「マクドナルド」と聞くと、原田泳幸氏を思い出す方が多いと思う。メイドフォーユーやコーヒー無料配布など奇抜な戦略で低迷していたマクドナルドを復活させた。しかし、マクドナルドを語る上でもう1人欠かせない人物がいる。それが、日本マクドナルドの創設者である「藤田田氏」だ。ちょっと年配の方なら銀座に1号店を出店した時の思い出を語れるだろう。そんな藤田田氏が語る経済や政治の話。今から考えると、ハンバーガー120円という低価格がマクドナルド不振の原因だし、ブロックバスターも日本から撤退した。しかし、先見の明をがあった事は間違いない。

本書で語られている事の大半が昔話だ。時代錯誤も甚だしい。ただ、偉人は語る話には説得力があるのは間違いない。藤田氏に千里眼があった事も間違いない。ソフトバンクの孫正義氏が藤田田氏に「アメリカに行って勉強しょうと思う。何を勉強したらいいですか?」と聞いて「コンピューターを勉強したらいい」といった話は有名だ。藤田田氏がいなかったら今の孫正義、おとうさん犬も存在しなかったのかもしれない。

ハンバーガーを120円で販売した時、周囲は無謀だ原価は幾らなんだ?と驚いたそうだ。しかし、藤田田氏には明確な戦略があったそうだ。当時は円安真っ只中。1ドル350円だったものが120円まで円高が進んだ。単純に輸入原価が3分の1になったという事だ。それをもって価格破壊的な戦略をとった。早くからコンピューターを導入し、業務の効率化を図った点も興味深い話だ。

よく、藤田田氏が儲けるための秘訣として語っているのが「女と口」というものだ。女とは女性のこと。財布の紐を握っているのは奥さん。それをターゲットにする。口とは食品などの事だ。物は壊れるまで使う事ができるが、口は食べてしまえば無くなる。しかも1日に何度も食べるチャンスはやってくる。まさに、マクドナルドを選んだ理由はそこかもしれない。

社員を学歴で扱わない点、金の卵ではなく内部で社員を教育する制度など80年代、90年代から一歩進んだ千里眼を発揮していた。藤田田氏の言葉に「ビジネスに満塁ホームランはない」という言葉がある。一歩でいい一歩ずつ進んでいく事が確実に成功する方法だと。

あと政治的な部分にも触れられているが、20年以上前から道州制の導入。法人税減税などの提案をしている点は興味深い。ビジネスをしない大前研一氏みたいで新鮮だった。

多少の時代錯誤はあるものの、一時代を築いた経営者の言葉は重い。ひと言付け加えておくと、今、これを実践した所で成功するわけでもないので注意が必要です。
「世の中の景気がいい、悪いというなかれ、

あたえられた環境はみな同じなのである。

勝って”官軍”となるかならないかは、

人それぞれが新しいビジネスを創造しうるか

どうかにかかっているのである。」
まさに、勝てば官軍。