Bic Camera(ビックカメラ)

シャープやパナソニック、ソニーなど日本の家電業界が軒並み赤字を計上している。方や、「サムスン」や「アップル」は業績が絶好調だと聞く。日本の家電業界が疲弊する大きな問題としては、以下のような点が挙げられます。

・ガラケーに代表される過剰スペック。
・円高による輸出の問題。
・過剰投資による需要と供給のミスマッチ。

3つ目に限って言えば、シャープの堺工場。パナソニックのプラズマ工場などが挙げられます。よく、家電業界の不振は企業的、戦略的な問題と言われます。確かに、売れもしない大型の液晶ディスプレイ事業や執拗に国内生産に拘ったシャープの戦略には批判が集中しています。しかし、根本的な原因はよりよい海外製品が瞬く間に世界を席巻するようになった。それこそ、「ダイソン」であったり、「iPhone」だったりします。昔であれば、海外でヒットしている商品を、日本企業が参考にして国産として売り出す例は多かったと思います。話はずれますが、種子島に「火縄銃」が伝来し、あっという間に日本がその技術を真似て「銃」を作ったように…。

ひと昔前までは、海外製品は殆ど日常に無かったと思います。当時の会話を勝手に想像してみます。

「炊飯器はナショナル製がいいよね。テレビは憧れのソニー製。洗濯機は日立で、冷蔵庫は三菱、湯沸かし器は象印で、携帯はやっぱりガラケー最高だわ!」

これがたぶん、80年代とか90年代後半頃まで続きます。これを現代の時代背景に投影してみます。

「携帯はiPhoneがいいよねー、テレビは韓国のLG電子のスマートテレビ、掃除機はもちろんダイソン、空気清浄機はブルーエアで、湯沸かし器はティファール、あーやっぱり日本製よりも海外製品だわ!」

つまりは、日本製造業の不振の原因は製品が極端に悪くなったというよりも、

「日本人が日本製の商品を買わなくなった。」

という事ではないでしょうか?そう言う意味では、こういう事も言えると思います。

「日本製品は元から優れてなかった、海外製品が日本に上陸したことで、より良い商品を求めて人が流れた」と…。

まぁ極論ですよね。確かに、日本製品は優れていた。それこそ、ソニーが開発した当時の最高画質を誇る「トリニトロン」だったり、液晶付きの電卓を発売したシャープだったりするわけです。でもよく考えると、先駆者は日本なのか?と言うと疑問が残る。日本が得意とするのは、開発された商品を改善し、よりよい商品に変換する能力であって、根本的にイノベーションを起こす能力には欠けている印象があります。(ウォークマンを開発した当時のソニーにはそういう力はあったと思う)。ある意味で日本が得意とする、「時間差戦略」がグローバル化の波に乗って、瞬く間に世界で同時発売されるようになってしまった。

日本の家電メーカーが「ダイソン」の登場によってサイクロン掃除機を発売する。でも時遅しで、世間的には「日本の企業はダイソンの真似をしている」という印象を与えてしまっている。そもそも炊飯器だって、これだけ時代が変わっても形や形状に変化はなく、画期的な「白飯の提案」はされていない。ダイヤモンド釜とか蒸気レスの炊飯器が販売されていますが、それは日の丸テレビだったり、ガラケーのような過剰スペックのような気もします。洗濯機だって冷蔵庫だって、内部の機能が変わっただけで根本的な「イノベーション」は起こってない。

それこそ昔は「パナソニックショップ」とか「ソニーショップ」のように、一箇所で1社の商品しか手に入らなかった。それが大店舗法の改正で「ヤマダ電機」や「ビックカメラ」といった大型店舗で複数社の製品を一括で比較できるようになった。だから、「日本製品が何故売れないのか?」を考えるよりも、「そもそも日本製品は支持されていなかった」と考える事もできると思います。「今、流行っている物を作る」という時点で2番煎じ、3番煎じなんだと思います。世界的に圧倒的に売れる商品。そのスケールメリットを利用して価格を限界まで抑える。これが、アップルが行っている正しい戦略なのかもしれない…。