おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)
細田 守
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-06-22)
売り上げランキング: 4,882

映画版の「おおかみこどもの雨と雪」は物凄い良かった。鑑賞後1時間くらい放心状態が続いた。人を愛するという事、親としての責任、自分の道を歩む子ども。「時をかける少女」や「サマーウォーズ」とはまた違ったコンセプトで作品の中から受けるものというのは沢山あったと思う。要約すれば「めっちゃ好き」。鑑賞後、色々なサイトや映画評、関連グッズを調べていたら、細田監督書き下ろしで「おおかみこどもの雨と雪」の小説が出ている事を知った。これは読まなくては!と思い、読んでみた。正直に言うと意見は二分すると思った。映画鑑賞後であれば「このシーンのこのセリフね」という事を理解し、映像を頭に浮かべながら読む事ができる。

しかし、映画未鑑賞の人にとっては、この小説から中身を想像して膨らませるのは大変かもしれない。あるシーンで花が雨に言った「まだ何もしてあげられてないのに」という台詞。これは文字的に理解する事もできる。だけど、実際に山の壮大な風景やおおかみの姿をした雨の姿を見て、花が必死に叫ぶ、宮崎あおいが叫ぶ台詞とはまったく違う。勿論、細田監督自身が小説家ではないという部分が大きいのかもしれないけど、すごく勿体無い気持ちがした。細田監督自信、ツタヤが発行するフリーペーパーの中で「台詞の少ない映画」だと言っているように、映像美が魅力的な作品でもある。正直に言うと、この本はファンサービスなのかもしれない。映画を鑑賞した後に読んで、「ああ、あのシーンの映像素適だったな」とかね。

僕の個人的な意見かもしれないけど、まだこの映画「おおかみこどもの雨と雪」を観ていない人は、この小説を手にするには早いと思う。何の情報も入れないで鑑賞する場合と、ストーリーと台詞を確認してから鑑賞する場合では満足感が大きく変わってくる。ある意味で殆どがネタばれ。それは、録画してまだ見ていない漫才コンクールの優勝者をYahooトピックスで知ってしまう残念さ。是非、お近くのツタヤやAmazonさんなどで手に入れて、一度観てから読んでみてください。雨と雪が雪山を走るシーン、CGで描かれてた広大な自然と山の映像美は必見です。あれ、映画版の宣伝になっちゃってますね。すみません。(笑)