白い犬のお父さんで有名なSoftBank。しかし、経営目線で考えると、ある一人の男の名前が上がってくる。そう、社長であり創業者である「孫正義」だ。YahooBBでNTTに対して破格な低価格を提示し、日本を一躍世界のIT大国へと進化させた。かと思うと、日本市場最高額でボーダフォンの日本法人を買収。そて、iPhoneの発売。最近ではアメリカ3位の携帯会社であるスプリント・ネクステルを約2兆円で買収すると発表した。しかし、今、孫さんが力を入れるのは企業経営ばかりではない。孫さんは20代の頃にこんな人生のプランを立ち上げた。
20代 名乗りを上げる
30代 軍資金を貯める
40代 ひと勝負かける
50代 事業を完成させる
60代 次の世代に事業を継承する
大体、孫さんの人生はプラン通りに行っていると思う。そして60代に近づいた今、孫さんが力を入れているのは後継者の育成だ。その名も「ソフトバンクアカデミア」。ここにはソフトバンクの社員だけでなく、外部からも数十人が参加している。毎週水曜日に孫さん自らが舞台に立ち熱弁をふるう。孫さんは後継者に、こんな事を求めている。
1.情報革命で人々を幸せに。
2.志高く、正義を貫け。
3.圧倒的No.1にこだわる。
4.脳がちぎれるほど考えろ。
5.地に足の付いた革命はない。
この本の面白いところは、新30年ビジョンと銘を打ちながら、実際は300年先の事にまで考察が及んでいるところ。人間の寿命が200歳まで伸びるとか、機械が人間の脳を越えるといった事まで書かれている。現在のCPUの回路は約100万個ある。それが30年後には3000兆個に増える。人間の脳の脳細胞が300億個なので、軽く上回る事になる。この変化の激しい時代に、それだけの考察、そして広い視野で考える事はすごい。孫さんは口々に「情報革命で人を幸せになる」という事を言っている。普通なら何を言っているんだバカじゃないか?と思われる事を、正直に、そして真剣に語るところが孫さんの凄いところ。ただ、創業者のその精神が後継にまで及ぶかどうか、というのには疑問符が付く。ある意味で孫正義は天才だ。実地で学んだ事も多いだろう。ある意味でSoftBankの魅力は孫正義であって、ネックも孫正義だったりする。

ただ、この変化の激しい時代に筋が通って真剣にITの事について語るというのは凄いと思った。
まぁ正直に言うと、SoftBank自体、買収で大きくなった会社。アップルのiPhoneように実物で世界を変えてきたわけではない。ボーダフォンだって買収したものだ。ただ、それを差し引いても魅力があるのが孫さんの凄いところだ。周りはお金だらけなのに、お金の臭いが殆どしないという事も凄いと思った。

本書の中身はたいした事はない。ただ付属のDVDが魅力的です。
2時間たっぷり孫さんのプレゼンを聞く事ができる。DVDが本体で文章がおまけみたいな本です。

経営を志している人には刺激的で魅力的だと思います。
マーケットプレイスだと300円ぐらいでDVD付きなのでお得です。(DVDが付いているかは要確認。)

「常に考え続けよ、少なくとも僕は常に考え続けている」