株の入門書の代名詞とも呼べる「世界一わかりやすい株の本」の著者である細野氏が株投資の方法を分かりやすく解説する。著者の本はこれが初めてですが、内容は架空のキャラクターと著者の対話方式で進むので、とても分かりやすいです。


これは永遠のテーマでもありますが、「株投資」と「預金」はどちらが正解なのか?という事です。預金は金利が付かない一方で元本割れする確率は殆どないです。しかし、株の場合は買った価格よりも値が下がってしまい元本割れするケースもあります。リスクを抱える分だけリターンも多いのですが、預金に比べると断然リスクは高いです。しかし、本書にも書かれているように、銀行に預けたお金というのは、間接的に融資や投資に回されるのであって、結果的に全ての資産は運用されている、と考えても間違いではありません。要はリスクを回避して銀行に任せるか、リスクを取って自分で投資を始めるか、の違いなのです。

本書では投資先を「自分が知っている企業にするべきだ」と言っていますが、それは納得できる事です。ITが分からないのにIT企業に投資しても未来を見通す事はできません。これは、著名投資家であるウォーレン・バフェット氏も言っています。ただ、本書で書かれている「PER(株価収益率)」(簡単に説明すれば、企業の価値に対して株価がどれくらい割安か?もしくは割高か?)を示す指数が低いからといって必ずしもその後上昇するとは限りません。よくよく分析すると、業績が悪化していた、という事もあるので、その辺はよく調べてから買った方がいいでしょう。

本書のタイトルにもなっている「ONE PIECE」「相棒」ですが、これは企業を分析するためにとても参考になります。結局、株価を決めるのはチャートではなく企業が生み出しているもの、例えば、ONE PIECEの映画であれば制作元の「東映」だったりしますし、「相棒」の場合は放送局である「テレビ朝日」だったりします。ONE PIECEの映画がヒットしたら東映の業績が上がって株価が上がる。相棒の視聴率が上がればテレビ朝日の業績が好調で株価が上がる。とても全うな事ですが、投資というのは本来そういうものなんだと思います。

配当性向については、とても興味深かったです。
例えば、配当性向が50%の場合は社員に給料などを払って最終的に残ったお金の50%が配当金として回されている、という事です。「ライオン」や「NTTドコモ」の配当性向は50%くらいです。

本当に世界一分かりやすいというのはウソではありませんが、世界一分かりやすい上の問題点もあると思いました。超初心者には納得の内容ですが、この本を読んだからといって投資先を絞る事も儲かる企業を見つける事もできません。チャートの読み方とか、企業業績の分析の仕方、そして有望な投資先については、この本を読んだだけでは理解するのが難しいです。

この本の最後のページによると、続編でもっと専門的な本が出るそうなので、少しでも株の知識がある方は、そちらを待った方が良いと思います。