アップルストア銀座
アップルストア銀座 / neco


今の時代に物を売るためには「イノベーションとぼったくり」が必要なんだと思います。例えば、任天堂やソニーのゲーム機が不振な理由、そして家電メーカーが軒並み韓国勢に負けている理由も「イノベーションとぼったくり」ができていないから、という事であると思います。「イノベーションとぼったくり」その最たる例が米アップルの商品戦略だと思うのです。例えば、スマートフォン端末「iPhone5」の1台あたりの製造コストは200ドルほどで、利益率は50%とも言われています。

●アップルのぼったくり戦略。

これは表面的に見れば「へぇーアップルって儲かっているんだな」と思うでしょうが、逆の側面から見れば端末を半額にしてもなお利益が出るという事です。この強気の戦略が伺えると思います。正直に言うと、アップル製品は「iPad」にしろ「iPhone」にしろ、ぼったくりです。ただ今の時代に商品を売るためには、この戦略はもの凄く正しい政略だと思います。今や商品のサイクルはもの凄く早いです。液晶テレビが顕著な例ですが、今や製品がコモディティ化し、瞬く間に韓国勢や中国勢が低価格の商品で市場を破壊していきます。

●日本のテレビが不振な理由。

日本のメーカーがテレビで利益が出せないのは、勿論、韓国製の安いテレビが市場を席巻しているから、、という理由もあります。まぁ宣伝が下手とかガラパゴスだ!なんて理由もありますが、、。ただ一つ事実なのは、液晶テレビにおいてイノベーションが無い事(日本が得意とするのは、画質の向上や性能などの細かい部分)であり、ぼったくりが出来ない点です。

この「ぼったくり」という言葉が重要で、例えば、テレビと通信が融合したまったく新しい市場をソニーが開拓したとします(ESONYと名付けましょう)。それは他の市場には無いものです。だから、値段を幾らにしようがソニー側の自由なのです。例えば、製造コストが10万円でも売値を100万円にする事だって可能です。だって世の中にないものだから、価格の基準が無いんですから。

ただ今の日本の家電業界は逆で、例えば、初期のSHARPは液晶という分野にイノベーションを起こし、ぼったくり価格でテレビを販売できました。しかし、今やSHARPのテレビは他の製品と比べて突出した物はありません。差別化できるのは価格だけです。だから低価格競争に巻き込まれ、業績が悪化する。大事なのは、いかに「ぼったくり」できるかなのです。アップルが儲かっている理由は、具体的に言えばティム・クックが天才的な才能で物流網を作ったという事でもありますが、イノベーションを起こし、まったく新しい価格の基準を作った事です。

イノベーションがあるから定価で売れる、それが高利益率を達成している理由です。
もう一つのメリットは数を売らなくていい、だからブランド力が維持できるという事でもあります。例えば、戦略として、1000円のものを1万個売るのか、100円のものを10万個売るのか?という違いです。

●廉価版販売でビジネスモデルを変えるアップル?

今、巷では「廉価版iPhone」の発表が噂されています。
新興国や低所得者向けに安価なiPhoneを発売するそうです。ただ、僕は一番危惧しているのがアップルが「ぼったくり」をできるのか?という点です。結局、アップルにとって大切なのは価格ではなく「イノベーション」なのです。製品のスペックや価格だけに重点が置かれればアップルの「ぼったくり戦略」は崩壊します。消費者が製造原価以上にアップルに支払っているのは、そのイノベーションなのです。

●日本の家電メーカーが復活すめためには?

今の日本の家電メーカーが復活するためには、方法は一つしかありません。つまり「イノベーションを起こしてぼったくれ!」という事です。例えば、洗濯機であれば「水を使わない洗濯機」だったり、掃除機であれば「音がでない掃除機」だったりします。短期間のうちに爆発的な利益を生み出す。その資金を元にさらなるイノベーションを起こす。単純なスペック競争では韓国や中国には勝てません。アップルに見習い、ぼったくりましょう!