今の日本の就職活動を見ると、いい大学を受験していい企業に就職する。それがある意味で人生の最高であり、ゴールでもあったりする。著者はコンサルタントファームである「マッキンゼー」に入社し、12年間、採用の担当をしていた方(著者がちきりんさんではないか?という話は置いておく。)帯に書かれた「地頭より論理的思考力より大切なもの」という言葉が印象的だ。本書は一見すると、就活生が好みそうな就活の本に思える。しかし、就職に関する項目は全体で言えば3割ほど、後の大部分をリーダーシップが占めている。本書は要約すれば、就職の本ではなく、「リーダーシップ」の本だと思った。つまり、何かの結果を出す事、それがリーダーシップという事にも繋がるわけです。これは営利企業に限らず、NPOとった場所でも共通する事だ著者は言っています。例えば、100円貰えるお手伝いと、1円も貰えないお手伝いではモチベーションがまったく違う。兄弟がいれば「俺はこうする」「僕はこうする」といった事を考える。これもある種のリーダーシップなのではないか?と僕は思いました。

まず本書では端的に「就職のマニュアルを勉強して模範通りの回答をする学生は採用しない」と綴っている。マッキンゼーが大切にするのは、夜も惜しんで考える力。模範解答ではなく、自分の頭をフル回転させて出た答えを求めている。著者はこの事を「知的体力」と呼んでいるけれど、まさに必要なのは体力なのだ。徹底的に考え、解決策を出す。それがコンサルタントに求められた使命だったりする。

日本では上司が決定を下すという事が当たり前になっているが、今の組織の中で必要なのは、全員がリーダーシップを取る事だと言う。全員が問題意識を持ち、個別で独自で解決策を持つ。日本式の多数決主義ではなく、明確な答えを求めるのです。全員がリーダーになると混乱するのではないか?という指摘もあるが、全員が個別に責任を持って行動する。その方が圧倒的に効率がいい。具体的にリーダーシップとはどんなものなのか?著者はこんな例を挙げている。

例えば、電車が事故で止まってタクシーに乗らないといけない場合。日本ではあれば行列を作り、1人が一台のタクシーに乗車します。「海外ではこういう場合、必ず誰かが相乗りを誘い始めます。」とあるように、同じ電車に乗るのだから行き先は同じはず。その方が効率的でもあります。つまり全員が個別にリーダーシップを発揮する事で、社会や環境はより良くなるのです。

リーダーは具体的にどのような行動を取るのか?本書では以下の4点を挙げている。

1.目標を掲げる
2.先頭を走る
3.決める
4.伝える
実はリーダーシップを考える際、常にセットで考える必要があるのが「成果主義」なのです。成果主義とは、「努力でもプロセスでもなく、結果を問う」という考えであり、成果主義を原則とする環境でなければ、リーダーシップは必要とされません。
つまり、何かの結果を出す事、それがリーダーシップという事にも繋がるわけです。これは営利企業に限らず、NPOとった場所でも共通する事だ著者は言っています。例えば、100円貰えるお手伝いと、1円も貰えないお手伝いではモチベーションがまったく違う。兄弟がいれば「俺はこうする」「僕はこうする」といった事を考える。これもある種のリーダーシップなのではないか?と僕は思いました。

日本はグローバル人材が少ないと言われている、そう言われているのです。しかし、その根底にあるのはグローバル人材ではなく、「グローバルリーダーの不足なのではないか?」と著者は言う。日本の人口が減少し、世界で物を売る必要がある。英語が出来て物を売ったり買ったりする人材が必要だと。ただ肝心なのは、物を売るグローバル人材ではなく、「海外の社員を動かすリーダー」「買収した企業のを動かすリーダー」だったりするわけです。その上で日本に足りないのはカリスマ的なリーダーではなく、リーダーキャパシティつまり、グローバルにリーダーシップを取れる人材の少なさだと言っています。

リーダーシップは決して天才的な能力ではない。週に1時間、学校で学べば誰だって身に付くスキルなのです。今、全ての人にリーダーシップが求められている時代です。それは職場でも日常でもそうです。本書はビジネス書でありながら、もの凄く普遍的な事が綴ってあります。誰もが問題意識を持ち、問題を考える。当たり前のようで当たり前で無い事。それが平易な文章で書かれているだけ。この本を読む事のできる日本人なら、誰もがリーダーシップを持つ事ができる。私が!僕が!ではなく、問題意識を持ち全ての人が納得する回答を導きだす。それは「知的体力」が必要な事ですが、それが身に付けば人生はより良くなり、問題も少なくなるのではないでしょうか?

おすすめです。就活生とかは是非、一度、読んでみてください。