一昔前、90年代前半では企業が自前のメディアを持つ事なんて考えられなかった。テレビや新聞、雑誌に広告を出す事が当たり前であり、当然の広告手法であった。しかし90年代も後半に入り、インターネットや携帯の進歩によって、企業が自前のメディアを持ち、自前で宣伝する事が可能になった。例えば、それは本書のテーマにもなっているコカコーラの「コカコーラパーク」だったりする。
No more spray,and pray
(神頼みするのは、もう止めよう)
これは、コカコーラ本社で最高マーケティング責任者を努めるジョー・トリポディ氏の言葉ですが、無闇に広告をバラまく時代は終わった。とも捉える事ができます。

広告が変わった以上に、消費者の行動も変わったと言える。今まではテレビで放送された物、雑誌で紹介されていた物を買うしか無かった。今のようにネットが普及する前だ。例えば、ギターの弦を買うにも今ではネット通販(例えば、Amazon)などが一般的であるが、当時は専門店に自ら足を運ぶ以外は買う手段が無かった。音楽にしても選択肢はオリコンTOP10に入った楽曲だったりする。それが90年代も後半に入り変わって来た。丁度、音楽の選択肢が多様化して来た時代だ。たぶん今、友達に「iPodの中にどんな楽曲が入ってる?」と聞いても自分と殆ど被らない事だって当たり前だろう。

当時は30%の反応があったテレビCMも今では10%ほどの効果しかないらしい。冒頭でトリポディ氏が言ったように「神頼みによって広告を出し、その効果を祈る」のではなく、自ら消費者にアタックし、商品を売って行く。僕はこの手法が今後は主流になるのかもしれないと思っている。本書で取り上げられた事例は「コカコーラパーク」だが、これは小さな企業にも当てはまると思った。本書ではレゴなどの例も紹介されている。株式用語にレバレッジというものがある。10万円を元手に100万円の取引をする際などに使われる用語だが、今の時代は小さな会社であっても、てこの原理のように、大きな消費者をひょい!と持ち上げる事も可能なのだ。つまり、「広告のレバレッジ」。ネットの面白いところは、それをリスク無しで行える事だ。通常、CMには何億円や何十億円という広告費が必要だ。しかし、ネットを使えば何十分の一、何百分の一で行う事ができる。

勿論、良い商品や良いサービスがあってこその広告だったりする。
そういう意味でも広告のあり方は大きく変わっているのかもしれない。マーケティングに関わる全ての人におすすめです。