少し古い本になるけど、ご勘弁を。前著「明日の広告」が新しいクチコミの形を提示した事でベストセラーになった。その第二弾として、出版されたのが本書「明日のコミニュケーション」です。本書のテーマは簡単に説明すれば、今までの消費するだけの存在から、本書のタイトルにもなっている「関与する生活者」という事です。つまり、消費すると同時にTwitterやFacebookといったクチコミが無数の波紋のように、広がって行く。本書ではハイパークチコミといった言葉で紹介されているけど、ソーシャルメディアによる新しいキャンペーンが始まる。

関与する生活者とは、大きく3つに分ける事できるそうです。

1.アクティブ関与層(元々関与するはずだった人)
2.潜在関与層(関与したかったけど、今まで方法が無かった人)
3.プチ関与層(ちょっとだけ関与したい人)

ソーシャルメディア上での通貨は共感だという。どんなものでもハイパークチコミが起こるのかというと、そうではない。大事なのは「共感」を纏っているかどうか、だと説明しています。スマホ普及によって、誰もがどこでも情報を発信する事が可能になった。ソーシャルとリアルの垣根は無くなりつつある。今まで「AIDMA」や「AISAS」といった手法が主流だったのですが、ソーシャルメディアの登場によって、テレビなどに大量のCMを出稿する。学校や職場で同じ話題が通用する時代はとうの昔にさった。既に消費者は「注意」する事すら放棄している。それこそ、YouTubeで動画を見る。ニコニコ動画で初音ミクの楽曲を聞く。同じ年齢や職業であっても、見ているもの。それこそ、Twitterのタイムラインによって、まったく異なってくる。

そこで新しく登場したのが、

「SIPS」

簡単に説明すれば、

・共感する
・確認する
・参加する
・共有&拡散する

今までの広告やクチコミがCMに代表されるように、上から目線だった。こんな良い商品ありますよー、買ってください。ある意味で大体的な訪問販売だった。それが逆で、消費者が手に取って「あれこれ良いなー」と思ったものを消費者が無料で拡散してくれる。その点では言えば、広告の手法は大きく変わったといってもいい。僕の中では今後の企業にって大切なのはいかに大量の広告を出すか、例えば、SMAPを広告に起用するとかではなく商品の魅力を上げる事、それが「共感」を生む最短ルートなのかもしれない。例えば、今話題のゲーム「モンスターハンター4」などは殆どCMは流れないけど、発売日の朝7時には多くの人が行列を作る。

それはドラクエ3の時も同じで、当時はスマホは無かったけれど、多くの人が前作に共感して「ドラクエって面白いよ」と確認し、ドラクエをプレイする事で参加し、「面白かったよー」と拡散する。それが口コミの元祖みたいなものかもしれない。

前作に比べると結構専門的で、普通の人が爆発的な口コミや話題を起こす事は難しいと思うんだ。でも、テレビと新聞以外でネット(ソーシャルメディア)を通じて新しい口コミ手法か生まれた事は面白い。今までよりもずっと難しいコミニュケーション手段、
ソーシャルメディアが普及してきて、またぞろ「広告はなくなる」という論が出てきている。
いや、広告はなくならない。
ただ、広告という「枠」がなくなるだけだ。広告はもう宣伝担当や広告担当が扱うだけのものではない、領域感のない何か」になっていくだろう。
さとなおさんは締めくくっている。