佐藤可士和。その名前を知っている人はそう多くない。でも、「ステップワゴン」「ユニクロ」と聞けば多くの人があっ!あれでしょ。と思うだろう。現在では、セブンのプライベートブランドである「セブンプレミアム」に携わっているそうだ。本書は、そんな超売れっ子クリエイターに対して、学生などの質問に答える形で話が展開していく。将来の悩みなどや仕事の悩みなど、質問は多岐にわたる。


例えば、可士和少年は子供の頃からデザインに並々ならぬ拘りがあったそうだ。少年時代はノートにバカボンを書いて友達を楽しまさせたり、ランドセルをわざと地面に擦らせて、ダメージ加工を行っていたそうだ。母親が買ってくる服にもダメだしをして、当時流行っていた、だぼだぼのヒッピー風の服を好んで着ていたそうだ。

Q.学生のうちにしておいた方がいいこと、もっと勉強するべきだと思う分野はありますか?
A.本気で取り組めばあらゆることから学べる。

何かを学ぶためにためには投資が必要だ。という可士和さんの言葉は心に響く。確かに、家や車は気軽に買う事ができない。でも自分が好きだと思う部分には投資してみるのも良いのかもしれない。

Q.入社後は全員が同じように仕事わやらせてもらえるのでしょうか?可士和さんは、どのようにチャンスをモノにしていきましたか?
A.全員に平等なチャンスなどない。

子供うちは大人が何でもしてくれる。でも大人なって会社に入れば勝手に仕事が振ってくる事はない。自分で「これがやりたいです」「ぼくにやらせてください」と積極的に動かなければ意味がない。ただ、その中で葛藤もあって、可士和さんが勤めていた博報堂ではクリエイターと営業が分離していたそうだ。クリエイターは仕事をするだけ、営業の内容については殆ど教えてもらえない。そんな中で葛藤し、自分の中である種の解決策が出たのが「ステップワゴン」だったそうだ。

Q.働く中で不満があった場合、それをどうやって解決してますか?
A.不満は「納得」と「課題」に分離する。

全てに納得する仕事なんてないという言う。ただ、コミニュケーションで物事は解決する場合が多いと言う。「チャンスをつかむためには、自分のやりたいことを周りに言いまくることも大切」と綴っているように、仕事で成果を出せるか?という以前に、自分の元に仕事が来るかどうかも重要。可士和さんは、アートディレクターという仕事を医者と患者という視点で捉えているそう。答えは必ずそのクライアントの中にあって、その答えを見つける事が大切だという。サムライ(可士和さんの会社)では、「最終決定者と会話できるか」という点を仕事をうけるかどうかの基準としている。

どの仕事にも共通しているが、結局仕事が成功するか否かは、その人の力量以上に回りとのコミニュケーションが大事になってくる。「ほう・れん・そう」みたいな言葉もあるけど、全ての仕事はコンピューター同士のやりとりではなく、人と人との間で生まれているのだ。