最近では、アップルやスターバックスといった世界的な大企業が税金をされほど払ってないのではないか?というニュースが話題になった。タックスヘイブン(租税回避地)を経由する事で利益の殆どを税金を支払わずに手元に残す事ができる。税金は今、世界的に複雑になりつつある。今までとは違い、事業は世界規模に展開され、グローバルになった。本書のテーマはずばりタックスヘイブン(税金)についてだ。日本人の感覚として、税金を払わない奴は許せない、逆に長者番付のように、税金を払いすぎる奴も許せない。



ただ、税金は国や国家を支える生命線。正しい税金が支払われる事で、我々の社会保障や年金が成り立っている。

しかし、タックスヘイブンが批判される一方で小国はタックスヘイブンに生き残りをかけている部分もある。資源も人材もない国にとって税金を低く抑える事はある意味で当然だ。著者は主税局で働いていた、その怒りと共に丁寧に分析されている。税金に限らず、世界金融に対する批判も綴られている。結局、お金を稼ぐ事は正しい、ただその一方で1円でも税金を払いたくない。株主への配当や製品価格で優位に経ちたいと思う理屈も理解できる。その上で、租税が回避できるのは「スターバックス」のように世界的な企業だからできるのかもしれない。

富裕層が税金の高さに嫌気がさして海外に移住する事も理解できる。国家は一概に企業ばかりを批判するが、健全に納得のいく税金ではない事。企業が税金を払って恩恵を受ける環境が少ない事は誰も指摘しない。

本書を読むと、企業はより利口に、そして金融はより傲慢になったと言える。

僕として、その先に何があるのか?という事が気になった。
富や名声を手に入れた先に何があるのか?漫画「ONE PIECE」のように、この世の全てが手に入るのだろうか?

結局、企業はお金を払いたくない、国はもっとお金を払ってほしい。その利害の一致が難しいのかもしれない。その過程を知る上で本書は参考になると思う。