ディズニーと言えばミッキーを思い出す人は多いだろう。しかし、僕にとってディズニーとは、コンテンツビジネスの王様だったりする。こう書くと、ウォルト・ディズニーか?と聞かれるけど、僕にとってウォルトはクリエイターなのだ。じゃあディズニーとは何なのかというと、世界的なメディア企業に成長させた「マイケル・アイズナー氏」だったりする。CEO時代に売り上げを15倍に増やし、株価を30倍に押し上げた立役者。本書は、ずばりアイズナーが行ったディズニー改革を自伝風に綴ってある。

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例えば、ウォーレン・バフェット、ビル・ゲイツあたりならピンと来るかもしれないが、アイズナーの名前を聞いてイメージを膨らませる人は少ない。出版が2000年で既に絶版(Amazonのマーケットプレイスで買える)なので、殆どの人は知らないだろう。何と、上・下巻。合わせて600ページに渡る大作だ。上巻はディズニー改革ではなく、アイズナー氏の生い立ちは人生を振り返って行く。登場するテレビて番組は90年代以前で、日本人にとってピンと来ないが、アイズナー氏のこんな言葉が心に刺さる
・簡潔かつ明確に実現できないようなアイディアは、どこかに問題があるものだ。
・現実の生活ににつながりのあるコンセプトほど、人々に訴えかけやすい。よいアイディアとは、心だけではなく体にも語りかけるものだ。
・私は、自分の意見に反対されるのはいやだが、なんでもかんでも賛成されるのは、もっといやだ。
・エンタテイメントの使命は、お客の感情を引き起こすことです。
・企業の成功は、社員がどれだけ心をひとつにして共同戦線を張っているかにかかっている。
やっぱりアメリカだなーという部分が、創業者のウォルトが素晴らしい作品を作る事、そのためには利益をど返ししていたのに対して、アイズナー氏はコンテンツの追求は勿論の事、第一に利益を意識していた点だ。日本、例えばジブリだったら儲からなくて作る。という事が当たり前かもしれないがアメリカではコンテンツというのはビジネスなのだ。幾らで作って幾ら儲かるか。日本人が観客からの賞賛を喜びにするのに対して、アメリカでは売りあげる、利益が出る事が、成功であり喜びなのだ。

300ページ以上する長編だが、いっきに読む事ができた。ついに下巻でABC買収といったディズニーの逆襲が始まる、、。経済書というよりも、ディズニーの栄枯盛衰物語として面白い。