たぶん、世間的に言うとクレしんの劇場版最高傑作は「オトナ帝国の逆襲」か「あっぱれ戦国」あたりたと思います。それに異論はありまんせんが、ボクの中での最高傑作は「ヘンダーランド」なんですよね。何故、オトナ帝国をベスト1位にしないのか?とうと、あれ、野原一家がオトナ帝国の町から逃げるシーンありますよね。そこで、ひろしが「ここにいたら頭おかしくなりそうだよ」といって、現代の臭い(作中だとひろしの靴の臭い)を嗅ぐシーンがあります。作品的にはしんのすけがチャコとケンの前で「おら、オトナになりたいもん。奇麗なお姉さんといっぱいおつきあいしたいもん」という事で未来を生きる事に肯定的な意見を言うわけですが、ひろし的にはオトナ帝国に居た方が幸せ、ずっと子供のままでいたいという思いがある。ある意味で盛り込みすぎな感があります。

で、ヘンダーランドは完全に子供向けで。特にイデオロギー的なものはありません。
でも大人が見ても十分に楽しめる。娯楽作品としては、こちらがおすすめです。

●あらすじ。

しんのすけたちは幼稚園の遠足として、群馬にある「ヘンダーランド」に来ていた。途中で先生や友達たちとはぐれてしまう。迷い込んだ、サーカス小屋。そこで、人形であるトッペマと出会う事になる。実は、ヘンダーランドはただの遊園地ではなく、異世界からやってきた侵略者だった。魔法の効果を持つトランプを託されたしんのすけ。地球を救うために、しんのすけは立ち上がる。

●感想。

初代監督の本郷みつるさんの作品は気味の悪いSFとファンタジーが魅力です。一応補足しておくと、本作にもオトナ帝国の原恵一さんが脚本と演出で関わってます。作品ですが、初期の頃の作品の特徴として、かなりリアルでシリアスです。ギャグ=クレしんのイメージは結構最近で、本作では殆どギャグのシーンはありません。あると言えば、今となっては懐かしい全盛期の雛形あきこギャグ。冒頭で登場するトッペマ「私はトッペマあなたのしもべ」この歌と声がいいんですよね。声優の渕崎ゆり子さんですか。ある意味で本作は子供が見たらトラウマとなるであろう、ス・ノーマン・パー。敵なんですが、幼稚園に来たかと思うと、しんのすけの家にも来る。たぶん幼稚園児とかだったら泣いてます。で、本作のそして初期作品に共通する事として、ライムスターの宇多丸さんも言ってますけど「しんちゃん成長しちゃう問題」があるわけです。これはリセットされる物語として、ちょっと問題。

本作にはあるシーンでしんのすけが成長します。ひろしも台詞として「うちの息子が今成長した」と言ってますね。両親を助けるむためにヘンダーランドに1人で乗り込む。これは感動的てす。で、最後の最後でのオカマのマカオとジョマとの戦い。これでいいのだろう?というシリアスなあるゲーム。そして、最後の大アクション。そして物語はクライマックスに向かって行く、、。もうこれを越えるしんちゃん映画は作れないだろっ!と思うほど完成度も高くて、世界観も素晴らしいです。

90年代っぽいシンセ全開のED曲も好きですね。