ここ最近のクレしん映画としては、あっぱれ戦国以降で最高傑作だと思う。(劇場で見た人によってはロボとーちゃんをーベストに選ぶかもしれないけど、、。)あっぱれ戦国以降は、その呪縛にハマってお笑い路線に移行していた。ケツだけ爆弾とか、3分間ぽっきりとか。基本的にクレしんは子供が見る物なので、それは良いとしても、あまりに子供向けの作品はどうかと思う。で、本作はそれを大きく振りかぶって、タブーに挑戦している。しんのすけたちの未来を描いた作品です。アニメ版でしんちゃんが小学生になったという話はあったけけれど、本作はしんのすけの婚約者がテーマになっているのです。

これは凄いエポックメイキング的な事です。

●あらすじ。

しんのすけが公園で遊んでいると、突然、未来からタミコという女性がやって来る。話よければ、未来のしんのすけに頼まれ5歳のオラを連れて来てほしいという。何と、しんのすけの未来の婚約者だった。そして、しんのすけ達は突然未来に行く事になる。未来の世界では隕石の衝突によって、その影響によって1日中暗くなっていた。その世界では金有電機が電力の殆どを支配し、未来都市ネオトキオを支配していた。金有電機の金有増蔵に捕まった未来のしんのすけを助けるため、未来のひろしやみさえ、そして、ひまわりや、ねねちゃん、マサオ君、かざま君、ぼーちゃんとたちとの戦いが始まる。

●感想。

まず世界観が凄いですね。これはたぶん、オトナ帝国に匹敵するくらい作り込まれています。しんのすけ達が初めて未来のにやって来た時、その荒廃した下町と支配された都会という構図は一気に引き込まれます。で、衝撃的なのが各キャラクターに対して、未来が用意されている事。冒頭でマサオ君は「将来は売れっ子漫画家として活躍している」という未来を描いているわけですが、実際に見たマサオ君の姿は寂れたコンビニの店員。ねねちゃんもこれも酷い未来が用意されているわけです(見てのお楽しみ)。子供トラウマだろうっっ、、。で、本作のストーリーは未来のしんのすけを助けるために、婚約者であるタミコと5歳のしんのすけが奮闘する物語なわけです。で、ねねちゃんやマサオ君の未来が悲惨な一方で、声優のキャストからして未来のしんちゃんはかっこいいわけです。原作との関係で顔こそ出ないものの、超かっこいい存在。で、一見するとシリアスは展開に見せて、伊藤あさこや椿鬼奴を起用した、花嫁(希望)軍団が超くだらない。でも最後の最後ではボスとのシリアスな対決が待っている。これぞ、クレヨンしんちゃんというね、、。

それで、ボクがこの作品で思った事は別に本編とは関係ありませんが、オトナになって見ると「愛してくれる婚約者っていいな」って思うわけです。タミコは絶えずオトナのしんのすけを「しんのすけさん」というわけですが、こういう恋愛っていいですよね。ただ、20年後のひろしとみさえは現実感投影しすぎだろっ!という感じです。

この作品で一番気になった点は、この後のクレしんです。ここまで描いたら未来が既定路線になってしまうという事ですが、本作はある意味でパラレルワールドで、タミコとしんのすけの未来は存在してないという事です。ある意味でホラーです。最後にしのすけが未来を楽しめ、的な事を言うわけですが、未来は自分で変えられるという提示でもあると思います。

最後に一つ言えば、本作でタミコとしんのすけんが約束した「未来のチョコビ」について触れなかった事です。指切りまでしたのにっっーーー。でも最近のクレしんとしては、オトナも楽しめる作品だと思います。おすすめです。