正直、クレヨンしんちゃん映画の最高傑作と言えば「オトナ帝国」と「戦国大合戦」の2つに絞られると思います。これに異論はないでしょ?正直に感想を言えば、ボクは「戦国大合戦」の方がすっきりしていて好きです。オトナ帝国も名作である事は間違いありません。映画史に残っていい名作です。ただ、オトナ帝国はしんのすけ視点で見るか、ひろし(大人)視点で見るかによって感想が異なります。最後にチャコとケンに向かって「おら奇麗なお姉さんといっぱいお付き合いしたいから」といって未来を生きる覚悟を問うわですけど、それはしんのすけの意見であって、夕日の町でひろしが(この臭い吸ってたら頭がおかしくなりそうだよ)と言いますが、ひろしとみさえ的には子供のままが理想であるわけですね。

大人になりたいしんのすけ、子供でいたいひろし。確かに、ひろしの歴史が流れるあの名シーンはあるわけですが、いかんせん社会を背負い過ぎている。対して、戦国大合戦はストーリーがしっかりしていて、それほどイデオロギー的な物が無い。最後のシーンを含めて納得できるストーリーだと思います。その点では、ボクは「戦国大合戦」の方がおすすめです。

●あらすじ。

ある日、しんのすけは庭である物を発見する。そこには、オラはてんしょう2年に居るという事が書かれていて、自分の字で書かれたなぞの手紙。しんのすけが一瞬目を閉じると、そこは現在の春日部ではなく、過去の春日部だった。そうタイムスリップしていたのだ。そこで武士である井尻又兵衛由俊(いじり またべえ よしとし)そして、春日のお姫様である廉姫(れんひめ)と出会う事になる。2人は恋愛感情を持っているが、武士と姫という関係。しんのすけは未来では「好きになればいいだけなんだよ」と2人につげる。未来には今の春日の歴史が残らない事を知った春日の国の大名は、廉姫に婚姻を迫る隣国の大大名・大蔵井高虎(おおくらい たかとら)に婚姻解消の旨を伝える。それを聞いた高虎は、2万の兵を連れて春日に攻めて来た。未来から来たひろしやみさえと共に、春日の国を救うため野原一家ファイヤーよろしく、辛く悲しい戦いが始まる。

●感想。

もう何か言葉を発する度に本作が陳腐になっている。とくにかく、未見の方かいたら、とにかくどの作品に優先してまずは見て欲しいと言いたい。本作は意外にも主役はしんのすけでは無いという点が面白いですね。物語終盤で高虎に対して、しんのすけが「お前逃げるのか、お前のせいでこうなったんだぞ」発するシーン。これが良い。一見シリアスに見えて、最後の方がコミカルな演出があった点は良かったと思います。(高虎がある事でしんのすけに倒されるシーン。)そして、本作の一番評価の高い部分がラストですよね。あーーーっっっっこれ以上は語れない。一つ言えば、刀で交わした契りの約束がここで効いてくる。たぶんラスト、これで泣かないのは無理でしょっって言うぐらい、反則技の連続です。これまた最後の台詞がいいんだよね。

ティッシュ1箱くらい使いますよ、覚悟しておいてね。

ストーリーの分かりやすさ、演出面、全てが完璧です。
本当に未見の方が居たら人生の中でかなり損してます、とだけ最後に言っておきます。