最近、話題のニュースと言えば、日本が誇るアニメーションスタジオである「スタジオジブリ」の制作部門が解体するという話です。先日の情熱大陸でプロデューサーの鈴木さんが特集された時もちらっと放送されましたが、思い出のマーニーを最後に当分は新作を制作しない意向だそうです。憶測として、ジブリで見習いをやっているドワンゴの川上さんの元に吸収されるのでは?といった話も出ました。(※それは本人が否定)。で、今回は何故、ジブリが制作部門を解体するのか?憶測と共に、アニメ制作の現実を綴ります。

●スタジオジブリは宮崎駿のために作られた?

これは本当です。元々アニメージュで働いていた鈴木さんが発端だそうですが、アニメージュの発行元である徳間書店の資本でスタジオジブリは立ち上げられました。その第一作が「風の谷のナウシカ」である事は周知の事実。補足すれば、宮崎駿監督だけではなく、高畑勲監督のために作られた事が正しいです。鈴木さんの著書によれば、元々はそれほど長く続けるつもりは無かったそうです。トトロでコケた時に本当にスタジオは解体寸前までいったらしいです。なので、宮崎駿監督が引退した今、スタジオジブリは存在意義を失っているという事実はあります。

●宮崎駿が監督する理由。

まぁ簡単にいえば、あれだけ稼げる監督はジブリにおいて「宮崎駿」しかいないという事です。思い出のマーニーの麻呂さんや、息子の吾朗さんも監督してますが、ゲド戦記が興行的には成功だったものの、評価が散々な結果だった。思いでのマーニーや高畑監督の「かぐや姫」が興行的に不発だった。スタジオを存続する糧を稼げる人物はジブリにおいて「宮崎駿」しかいなかった。著書によれば、「コクリコ坂」「借りぐらいのアリエッティ」「ポニョ」で新監督の育成もしていたらしい。これは語りぐさですが、宮崎駿監督は独断で、殆ど人を育成してこなかった過去があります。

●お金がかかりすぎるからやめる。

これは一番の理由でしょう。ジブリは現在、正規雇用でアニメーターを雇用してますが、この維持費が半端ないそうです。噂によれば、1日に2000万円。2時間クラスの映画だと30億円〜40億円ほどの制作費がかかるそうです。つまり、興行収入でそれほどのヒットが出なければ、赤字という事です。「ものの姫」「千と千尋」「ハウル」と100億円クラスのヒットに恵まれましたが、今後はどうなるか分からない。「続・風の帰る場所」という本によれば、宮崎駿監督はこんな事を語っています。

それで、自分たちが考えてるよりもっと深刻なんじゃないかっていう、それを、僕はみんなに言いました。いっぺんにしゃべれないから、3回に分けて、これからの3年どうやっていくかっていう話を、美術館のスタッフも含めて、3回話しました。しかもコスト年々上がってるんですよ。鈴木さんが言うまでもなく。前は、それでも二次使用料みたいなもの、DVDとかビデオで、みんな呆然としている期間も賄えたんですけど、それがはっきり賄えないという(笑)。「ポニョ」の数字がそれをはっきり示している。
そこに僕が入ると壊れるんですよ。僕は壊すためにいるんですから。それでお客さんが入らなかったら、もう宮崎のせいだからしょうがないっていう。それで、解散しましょうっていうプログラムを鈴木さんは作ってるんですよ。そのうちならまだ(社員に)退職金が払えるから。これ以上続けたら払えなくなるっていう。これ冗談みたいだけど、この前、真面目にそういう話を鈴木さんと話して、とても面白かったです。

●ジブリの今後。2つの選択肢。

ジブリの今後として、大きく言われている事は、まず「著作権管理会社」になるという選択肢。先の宮崎監督の話のように、退職金を払って解散する。そして、2つ目の選択肢、作品毎の採用にするという選択肢です。今は正規社員を雇用するために、ほぼフルで映画を制作する必要がありますが、作品毎の契約にすれば、そのコストは大幅に下がります。

岡田斗司夫が語る宮崎駿、長編引退の意味。

これは余談ですが、岡田斗司夫さんが面白い事を言ってました。宮崎監督は長編は引退したけれど、短編からは引退してない。5分〜10分の短編をジブリ作品の冒頭に組み入れる事で観客を集める戦略を取るのではないか?という説です。

●庵野秀明が作る「ナウシカ2」。

実は、「風の谷のナウシカ」はあれで完結しているのではなく、実は宮崎駿監督自身が書いた原作漫画の2巻の途中までで終わってます。それを、エヴァンゲリオンの監督で知られる。庵野秀明さんが作るという説が俄に現地味を帯びている。本人自身、ずっと「やりたい」といっていた話で、最近になって宮崎監督も「いいんじゃないか」的な事を漏らしているそうです。さらに現地味を厚くしいるのが、庵野監督が立ち上げたスタジオカラーに、ドワンゴ会長でジブリの見習いをやっている川上さんが取締役として入っている点です。これで、スタジオカラーにいながら「ナウシカ2」を作れる。