新聞やテレビの言っている事は信用できる。たぶん、多くの人は盲目的にそう思っている。テレビで大学の権威が出れば「○○大学の教授が言っているのだから信用できるだろう」と思ってしまう。

でも、それがテレビ局の用意した御用学者だったとしたら?
そして、企業の不祥事や問題を裏で操れる存在がいたとしたら?

それが日本を代表する広告業界のガリバーである電通です。就活生だったら「一度は入ってみたい」と思えるほど高給でエリートな会社です。基本的にテレビやメディアにおいて「電通の事はタブー」とされています。ニュースステーションの看板司会者として活躍した久米さんですら、最終回の日に視聴者を差し置いて「電通」に感謝の言葉を述べている。賞賛こそされ、批判でもすれば一発で業界から姿を消す。ある情報によれば、民放キー局の40%の広告枠を電通が支配しているらしい。もはや民放にとって電通はなくてはならない存在になっているわけです。

●テレビは洗脳するためにある。

テレビは洗脳にためにある。そう聞くと「えっ?」と思う人は多いかもしれない。でもよく考えてほしい。小泉内閣の郵政選挙「郵政民営化にイエスかノーか?」が問われた選挙だったわけですが、キャッチフレーズだけがメディアで先行し、実際に郵政民営化の是非を考えた人はいただろかと。本書によれば、スリードという広告会社が考えたスキームだそうで、国民を4つの層に分けて政治リテラシーが低い層(本書で言うB層)にターゲットを絞り、インパクトのあるキャッチフレーズを選んだそうです。業界内では冗談で「B=BAKA」と呼ばれているらしい。結果はご覧の通り、歴史的圧勝。メディアはつまり、利用するためにあるという典型的な例です。

●視聴率を独占する電通。

視聴率。よく、キムタクのドラマの視聴率が20%越え。なんて感じで使われている。その前で言えば、半沢直樹40%越えですね。でもこの視聴率という指数がかなり怪しいと言われている。実は、日本に視聴率を調査する会社は「ビデオリサーチ」しかないです。このビデオリサーチを支配しているのが電通なわけです。かなり前から視聴率は本当に正しいのか?という事は言われてましたが、確かに、関東圏に限定すれば、世帯数に対して、視聴率メーターがある家庭600世帯ほど。統計的には正しいらしいとされいるけれど、本当に正しいのか?は不明。20%台で数%の誤差がある事はビデオリサーチ側が認めている。

●感想。

噂によれば、電通内でこの本が結構話題になったらしい。でも本書はかなり簡単に要約されていて、それほど中身は濃くない。電通といいながら民放批判もしている。もっと踏み込んでも良かったんじゃないかな?とも思う。普段盲目的にテレビを信じている人が、「あっテレビってそういう事だったのか?」と池上さん的に考える事は大切なのかもしれない。ただ、これは視聴者的な部分であって、電通はスポンサー側にとっては洗脳装置として非常に頼りになる存在だという事は言っておきます。

たぶん、電通は無くならない。だって、お金を払うだけで、メディアを操作してくれるのだからね、、。それが高いか安いかという話ですよ。