大多数の意見を総約すれば、テレビや新聞を牛耳る正力松太郎氏が自身の思惑のために、CIAやアメリカの言いなりになっていたという事実は頂けない部分もあったりある。日本テレビの正式名称が「日本テレビ」ではなく「日本テレビ放送網」である所以は、正力氏が構想した、通信と放送を牛耳る世界的な通信網を構築しようとする思惑でした。そのために、政治家となり、そして総理大臣を目指した。批判もけっこうけだら、ねこはいだらけ。でもボクは、時代を感じたという感想を抱きます。今でこそ、CIAの手先として原発を推奨した、と捉える事もできますが、昔の政治家や経営者であれば、それは当然である事も言えるわけです。

例えば、昔はタバコを吸う事は当たり前だったけれど、今は健康志向で禁煙の流れになる。むしろ喫煙者にといっては形見が狭い。でも、当時そんな事を言ったら「お前は遅れてる」と言われたでしょう。それと同じ事が終戦後のメディアの史跡と関係するわけです。正力氏が読売新聞や日本テレビを活用して原発の好意的な記事を誘導した事は本書を読めば事実だと思うけれど、メディアっていうもんでしょ?という事です。今でこそマスコミをマスゴミとネット民はいうけれど、昔も今もメディアは洗脳装置であるという事実は変わらない。そこで何を取捨選択するのか?それが問われている。

ただ、本書を読めば分かるように、新聞やテレビの力があっても総理大臣にはなれなかった。
ある意味で政治の中にも正しい部分があったと。まぁ田中角栄氏は別としてね。

メディア洗脳の元祖という点で本書は興味深いです。