岡田斗司夫という人物自体が不思議な存在であるけれど、複数の著書を読むと言っている事に一貫性はある。「世界征服」は可能か?は、かなり面白いかったですね。で、本書のテーマはずばり働く事についてです。簡単に要約すれば、就職する事は必ずも正解ではないのではないか?という説を唱えるわけです。大学生の常識から考えれば、良い大学に入って大手企業に就職にする事が日本においてある種のゴールなわけです。でもよく考えると、日本航空や東京電力のように、日本を代表する企業でさえ倒産の危機を迎える時代です。大手に入る事が必ずしも正解ではない事は事実だと思います。

●企業の寿命は平均すると7年。

これは驚きのデータです。普通に考えると、就職した=終身雇用が当たり前だと思っている人にとっては衝撃的なデータです。これは日本のデータであって、アメリカの例を見ればさらに短くて5年という結果が出ています。勿論、平均なので、平均よりも長い企業だって当然あるし、逆に零細企業であれば、平均よりも早く倒産する事もあり得ます。

●ONE PIECEはフィリピンで作られている。

これは衝撃的な話です。「ONE PIECE」という日本を代表する漫画があるわけです。たぶん、男性なら1度は読んだ事もあるのではないでしょうか?1億部以上も売れた国民的な漫画です。そのアニメ版はフジテレビの日曜朝9時30分から放送されてますね。子持ちの方なら子供と一緒に見た事のある方もいるかもしれませんが、実はこのアニメ版の「ONE PIECE」は日本で製作させていません。勿論、絵コンテや重要や部分は日本でやるのでしょうが、作画などの作業の大半をフィリピンで行っているそうです。その理由は簡単で、日本で製作すると人件費がバカにならないからです。

それと同じように、今日本にある作業の多くが将来的に日本で行われるのか?という疑問が出てくるわろてす。本書では作業の分業化という言葉を使ってますが、いつその作業が海外に移転させられるかは分からないわけです。

●評価経済を簡単に説明する。

評価経済というのは、岡田さんの発言の中でかなり重要な意味を持つ言葉です。つまり、今後の社会はお金では評価を通貨を使うようになる。イメージとしては、ホリエモン著「ゼロ」に書かれている。お金が無くても信用があれば生きて行けるという発言に近いものがあります。そのために岡田さんは、3つのCが大切だと言います。つまりは、

コンテンツ(能力)
コミュニティ(人間関係)
キャラクター(人柄)

です。

●愛されニート。

これは漫画に例えるなら、ONE PIECEのルフィ。ドラえもんののび太。こち亀の両さんが当てはまるそうです。別に就職をしなくても、先ほど説明した3つのCがあれば生きて行ける。

●就職は就職で必要だと思う。

で、この本を読んで思った事は確かに働く(就職)する事が昔のように正解とは限らない。でも全員が愛されニートになるのか?問われれば、違くて、ONE PIECEのナミ、ドラえもんののび太パパ、こち亀の中川はちゃんと働いているわけで、この先にも就職して仕事に付く事は当たり前ではあり続けると思います。でも、それが永続的に続くわけではない事は事実だと思います。そのために、50のお手伝いという言葉を出てくるけど、それは本書を読んでください。ブロガーとかYouTuberとか色々と働き方はありますけど、旧来の働き方が常識ではない「僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない」は、ある意味で将来の常識なのかもしれません。