何度目かの視聴になりますが、ドラえもんの「のび太と鉄人兵団」のオリジナル版とリメイク版、正確に言うと「新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ天使たち〜」を見返しました。オリジナル版とリメイク版を一気に観たので、その感想や違い「新旧比較」を簡単にまとめてみようと思います。



●1.冒頭での演説のシーン。リリルが謎の少女ではない?



冒頭のシーンでいきなり、総司令の演説のシーンで入ります。その場で地球人を捕獲するために、送り込まれるリルルが紹介されます。一応、オリジナル版では謎の少女リルルという事ですし、次元震後にリルルを発見したしずかちゃんが「ロボット」である事を発見するわけで、この辺は多少の矛盾が生じてます。



●2.地球人の奴隷化に対する合理性。



これは前回書いたオリジナル版の「のび太と鉄人兵団」レビュー記事でも書きましたが、オリジナル版は地球人の奴隷化に対する合理性があるわけです。勿論、本作でも合理性がある事は語られます。簡単に言うと、メカトピア星で奴隷ロボットによる革命が起きて、その足りなくなった労働力を地球人で代用するというものです。でも、よく考えると、ピッポはロボットとして奴隷的な扱いを受けているわけで、本作の言葉を借りるならメカトピアは「天国のような世界」ではないようです。



●3.ピッポを入れた事は正解か?



私的にピッポを入れた事は正解だと思います。オリジナル版ではミクロスがその立場にいる。確かに、リルルとのび太たちとの交流という意味でリルルの存在意義は薄れてます。(例えば、総司令のもとを訪れるリルルにのび太が遭遇するシーンで、オリジナル版ではのび太が「いくじなしっ!」とビームを受けるわけですが、リメイク版ではピッポが受けます。ここは本来であれば、人間とロボットは相容れない、でも人間の気持ちは分かるといった葛藤のシーンなわけですよね。)でも、ピッポを入れた事で、のび太たちの間近でロボットと人間の友情を感じる事ができるのだと思います。



オリジナル版では、リルルとしずかちゃん視点でロボットと人間の葛藤や友情を描くわけですが、リメイク版では「ピッポ+のび太」の友情が描かれているわけです。それをお涙頂戴と変換するかは人それぞれ。



●4.のび太としずかちゃんが抱き合うシーンはカット。



これは正直、残念でした。オリジナル版では敵に襲われるしずかちゃんをのび太が助ける、一種の名場面が、リメイク版ではばっさりカットです。



●5.ミクロスの残念な扱い。



まずネタバレですが、オリジナル版ではキーマンであったミクロスはリメイク版では殆ど登場しません。三ツ矢雄二ボイスでもない事は注意しておきたい。



●6.リメイク版の残念な所。



基本的にリメイクとしての完成度は高いものの、一つ問題点、終盤で鉄人兵団を迎えるシーン。敵が尋常じゃない数。あのーピッポが戦艦?と戦うシーンがある。ここは見せ場だと作画も凝ってますが、完全に子供3人が扱える規模ではないです。さらに、戦艦がかっこ悪いと思いました。これは「新・のび太の宇宙開拓史」の時にも思いました。



●7.ピッポは天使になったのか?



オリジナル版では、のび太が居残りをさせられている教室の外にリルルが登場する。最後に「リルルがいたんだよ」とのび太が空き地でジャイアンたちに言うシーンがあるわけですが、リメイク版では光のバックに天使となった「リルル」と「ピッポ」の姿が写し出されます。ここは賛否がありますね。結局、ピッポは擬態化されましたが、オリジナル版ではただのボールだったわけで、白馬として天使になったという事でいいんでしょうか?つまり、ははだけ天使たちと、、、。