実は単行本の時に読んでブログでも紹介してるんですが、文庫版が出たので改めて読んでみました。ユニクロの柳井さん、そして大前さんの共著である本書はビジネス書通としては、それだけで価値がある。出版自体が2010年という事でアベノミクス以前の内容ではあるものの、その内容は色あせない感はあります。2人に共通している事は、「このままでは日本の未来は危ない」という事です。アジアの国々例えばシンガポールなどが1人当たりのGDPで日本を抜き去っても、日本人は未だに世界の第二位の経済大国という幻想に浸ってしまっている。



政治を語るべきではない ユニクロ柳井正



ユニクロの柳井社長は自分の中で政治を語るべき身分ではないと語っています。しかし、本書で政治について語った背景としては、絶対的な危機感を持っているようです。例えば、ある調査によれば、日本の若者に「海外で働きたいか?」というアンケートを取ると半数近くが「海外に行きたくない」という結果が出ています。ユニクロは2020年に売り上げ高5兆円。日本国内で1兆円、海外で4兆円を目指していますが、ぬるま湯に浸りきってしまった日本人に危機感を感じた。それが本書であえて政治語る覚悟だそうです。



リスクを恐れる事が最大のリスク、、。



コーポレートメモリーを大切にする 大前研一



日本人の問題として成功体験は共有するものの、失敗は共有しない簡単言えば文化的なものがありますが、それが問題なのだと大前さんは言います。例えば、世界最大の建設企業であるベクテルでは、取引をしていい企業やダメな企業がデータベース化されていて、誰が仕事を引き継いでも同じ結果を出せる仕組みがるそうです。成功を語るのではなく、失敗を堂々と語る。勿論、反省は必要です。この謙虚な姿勢も大切なのではないでしょうか?



サラリーマンとビジネスマンは違う。 ユニクロ柳井正



サラリーマンとビジネスマンの大きな違いは、サラリーマンが言われた事をするだけなのに対して、ビジネスマンは自分で行動するという点にあると思います。「安定思考」という考えが浸透した30年前と日本経済の陰りは合致している。



基本を学ばない「丸腰」社員が多すぎる 大前研一



ドラッカーを分かり易く解説した通称「もしドラ」の大ヒット。それ自体は入り口として良かったものの、多くの人がもしドラを読んで満足した気持ちになってしまう。原書であるドラッカーには触れない。ハウツー本を読むのはイイ事だけど、それを読んだだけで満足して、自分で行動を起こさない。本に書いてある事は以外と行動できない。これは言われた事はちゃんとやるけど、言われない事、一度もやった事が無い事にチャレンジできない日本人と共通しています。



優秀な人材が競争相手になる時代 大前研一



結局、サントリーの例も含めて少子高齢化した日本では海外に出て行くほか成長する選択肢はありません。その中で日本人だから優遇される時代は等の昔に去りました。今は、日本人だけではなく、インドやアフリカといった世界のビジネスマンとの戦いか始まります。英語が共通言語なのは勿論、より自分で行動し結果を出す事が求められる。日本企業のぬるま湯に浸ってしまってし、グローバル競争で敗者となる危険性があります。



所得税と法人税ゼロで海外から投資を呼び込め 大前研一



この辺は大前さんの本領発揮という所でしょう。現在日本の法人税は世界に比べると圧倒的に高い。シンガポールか10%台なのに対して、日本はモロモロを含めて40%を越えている。そこで大前さんは、法人税と所得税をゼロにする案を提案しています。



簡単に説明すれば、現在ある日本の法人も含めた2500兆円に資産課税をする。これによって、20兆円〜40兆円の税収を得る事できる。さらに、ヨーロッパのように付加価値税、つまり、生産過程で付加価値が付いた段階で課税するわけです。資産課税も含めて、これで50兆円〜80兆円の税収を確保する事ができるそうです。



まとめ。



結局的に今の時代は恵まれているというのがボクの感想です。確かに、日本のサラリーマンにとっては英語を学ばなければならない。外国人との競争があると悲観的な一面もりありますが、何より努力すれば自然と80億人の市場と戦えるわけです。それもちょっとの努力です。もしドラを読んでドラッカーの原書に当たるくらいの努力でいい。本だって1万部でベストセラーなわけですから、1冊でも2冊でも多く読めばそれだけで他人より優位に立てます。
「この本のタイトルである「この国を出よ」は、若者は日本に早く見切りをつけて世界へ飛び出せというワンウェイのものではありません。ここで紹介したように、世界という道場で武者修行を重ね、どこにいてもリーダーシップを発揮できる力をつけておけば、再び日本にチャンスの風が吹いてきた時に、帰国した彼らが今の日本を根本から変え、復活させる原動力になるに違いありません。それを期待するツーウェイの意味を「この国を出よ」に込めています。」