短期間で1億円稼げる投資の本(実際はどうか不明)が書店に並ぶ一方で、今回紹介する「気弱な人が成功する株式投資」が掲げるテーマは普遍の法則を綴っている。つまり、10年後に読んでも同じ感想を抱くはずです。本書では具体的な銘柄の紹介は極力避けられている。本書が扱うテーマは簡単に説明すれば、「いつ買っていつ売るのか?」を、天才投資家であるウォーレン・バフェット氏やフィリップ・フィッシャー氏の例を参考に綴っている。株で成功した人に共通している事は「運」では決してない事でしょう。それぞれが独自の方法で売買を繰り返してますが、共通している事は「優良株を安価で購入する事」です。



「他人が強欲な時に臆病になり、他人が臆病な時に強欲になりさえすればいい」



とは、ウォーレン・バフェット氏の言葉です。



フィリップ・フィッシャー氏によれば、株を適切な方法で適切なタイミングで買う事ができれば、株を売るチャンスは一生やって来ないという。(フィッシャー氏は40年以上前に買ったモトローラの株を死ぬまで手放す事はなかった。)逆に、株を売るタイミングは以下の3点に集約される言います。



1.当初の買いが間違っていた時。

2.経営者の劣化。

3.良い株からさらに良い株への乗り換え。



面白かったのが、世間一般で割安な株を買うバリュー投資においてPER(つまり収益に対して株価は割安か?)を参考にするのに対して、PERなどが高いからといって必ずしも避けるべきはないという点です。例えば、アップルやディズニーがあれだけ成長する事を予想できただろうか?PERが30倍や40倍になれば、投資家としては(そろそろ売りかな?)と思うが、テンバガー(短期間で5倍や10倍になる株)において、それは当てはまらないと言います。



セイラーの所有効果にもあるように、人は欲しい物を安く持っている物を高く売る傾向にあります。買った時と売る時、そして持ち続ける期間。成功者に共通している事は明確な意図と判断を下す勇気なのかもしれません。