「思考の整理学」でおなじみの外山さんの新刊です。ご存知の通り、前著は東大・京大の生協で売り上げ1位を記録し、累計で180万部を突破するロングセラーです。外山さんってもう90歳を越えているんだね。それでも意欲は衰えない。で、本書のテーマはずばり「読書術」に関する本です。はっきり言えば、世間的に言う「ビジネス書を読んで年収1000万円」とか「本を読んで成功する」といった類いの本ではありません。セレンディピティ、つまりは偶然の出会いを「乱読」にかけた本です。つまりは、本を乱読する事で、偶然の出会いが待っているという事です。



●本は読み捨てて構わない。

多くの本を読んでいれば、繰り返し読みたくなる本にめぐり会うかもしれない。しかし、それは例外的だと考えた方がよい。実際に何度も繰り返して読む本が5冊か7冊あればりっぱである。本は読み捨てでかまわない。本に執着するのは知的ではない。ノートをとるのも、一般に考えられているほど価値はない。本を読んだら、忘れるにまかせる。大事なことをノートしておこう、というのは欲張りである。心に刻まれないことをいくら記録しておいても何の足しにもならない。

●アルファー読みとベータ読み。

読み方には二種類ある。ひとつは、テレビで見た野球の試合の記事のように書かれていることがら、内容について、読む側があらかじめ知識をもっているときの読み方である。これをアルファー読みと呼ぶみとにする。書かれていることがわかっている場合、アルファー読みになる。もうひとつは、内容、意味がわからない文章で、これをベーター読みと呼ぶことにする。すべての読みはこの2つのどちらかになる。

●本で失敗しても構わない。

いくら賢い人でも、乱読すれば、失敗は避けられない。しかし、読めないで投げ出した本は、完読した本とはちがったことを教えてくれていることが多い。失敗をおそれない、、、それが乱読に必要な覚悟である。

●大量にインプットする事で生まれるセレンディピティ。

つまりは本書が言いたい事は大量のインプットを行う事で新しい発想が生まれるという事に近いわけです。例えば、潜水艦で敵の位置を調べるソナーが偶然にもイルカが超音波で会話をしている事の発見に繋がった。本書では散歩の効用を紹介しているけど、ただ漠然と読んでいるだけではなく、脳全体、体全体を使う事で新しい発想が生まれてくる。本は読み捨てて構わないという考えはもの凄く新鮮でした。ちょっと難しい読書術が本書の要約。税抜きで1000円切っているので、おすすめです。