残念ながら今年は読書メーターに読書記録を付けてないんだけど、日記的に付けているほぼ日手帳を読み返すと、確実に今年のTOP3に入る名作です。

livedoorと言えば、それこそlivedoor事件=ホリエモンというイメージがある。例えば、ユニクロの柳井社長なんかは、「彼のやっている事は虚業で経営者としては認めれない」という趣旨の発言をしているわけです。

前もってはっきり言うと、本書は「ホリエモンは悪くない」「livedoorは悪くない」といった自己弁護や弁解の本ではない。それこそ、著者が元livedoorで働いていた社員、しかも辞めている元社員だった事からも分かります。

本書は働く事の意味を問いかける本です。


●実際のホリエモンはどうだったのか?


あの名言「金で買えないものはない」(これ自体が某記者の捏造だという説もある)という印象から、普段から女性をちらつかせたりお金に物を言われているイメージがあるけれど、実際のホリエモンはとても仕事に対しては真剣だったそうです。

遊んでいるイメージも殆どなかった。それこそ、ITオタクという言葉が似合うようなギークだった。

逮捕当日、その後に社長にとなった平松さん(当時)に対して、「社員の事、よろしくお願いします」という言葉を残していったという、、。

●livedoorは虚業だったのか?


これは冒頭に書かれている「東京地検特捜部」の査察。(テレビで一列に連なって六本木ヒルズに向かっていたシーンは印象的)それを見ると「あ〜livedoorって悪い事してたんだな」という印象があるけれど、社内の状況はまったく違っていた。

それこそ、多くの社員が「なぜ?」という思いでいっぱいだったそうです。元livedoor広報(近状が胡散臭い)乙部さんが叫んでたという話が書かれています。

内部は野心と意気込みに満ちた優れた技術者の集団だった。
六本木ヒルズという一等地にありながら、社員は床に布団を敷いて寝ていたらしい。

良い意味でも悪い意味でもベンチャー精神に溢れた職場だったそうです。
深夜にホリエモンがサーバーが落ちる補強しろっ!という話も面白かった。

●本書から学べる事とは?


本書はITの本ではない、さらに言えばビジネス書でもない。
本書から学べる一番の事、それは人生にとって失敗する事は決して終わりではない。そこからスタートする事の大切さを問いかけているわけです。livedoorは残念な事になった。そこの優秀な社員をlivedoorごとたった60億円で買収したLINE(韓国資本のネイバー)は勝利かもしれないけど、

著者は本書にこんな言葉を残しています。
大人の感覚だと、「やったことがないから、うまくいくかもしれない」とはあまり考えない。どうしても、「やったことがないから、うまくいかないかもしれない」となってしまうし、それが普通だ。失敗したときのリスクが目の前をちらついてしまう。でも、それだとイノベーションは永遠に起こせない。ワクワクすることもない。難易度の高い仕事に、チャレンジングに取り組めば、時に辛いことが山のように目の前に立ちはだかる。だが、今の日本が忘れてしまった仕事の楽しさが、そこにある。
つまり、本書のタイトルにある意志は継続するという言葉。つまりは、会社は時価総額や規模ではなく、社員によって支えられている。

社員の意志こそ、会社の財産かもしれない。それはlivedoorが無くなったとしても、ホリエモンが経営から退いたとしても消えない。働くという事、それは世間一般にはお金を稼ぐ行為だけれど、それを超越しないかぎり成長は見えないのかもしれない。若者こそ読むべきだっ!