最近4が公開されたと聞きます。2の時点でファンからはうぇぇーって言われているのに、沈黙シリーズかよっ!という思いも無いでもないけれど、1作目は間違いなく傑作です。これは何の知識も入れずに見るようりも、当時の世界情勢を頭に入れて見た方が何倍も面白く見れます。


●簡単なあらすじ。


簡単に説明すれば、アラビア海に浮かぶ米海軍の原子力空母USSカール・ヴィンソン。これはボスニアの平和維持活動に参加していたわけです。

その現状を偵察するために、空母の戦闘機に主人公バーネットと相棒が乗って偵察を行っていた。バーネットはレーダーに不信な動きを察知し、飛行予定空路を変更し写真を撮影する事にした。しかし、敵の対空ミサイルにより戦闘機は撃沈。

パラシュートで脱出したバーネットと相棒。しかし、その相棒は敵の手によって殺されてしまう。救助を要請するバーネットだったが、和平が崩れるのを恐れた国連軍の要請もあって現地でも救助はできず、安全地帯エネミーラインまで移動するように命じられる。そして命をかけた脱出劇が始まるのだが、、。

●感想。


まずストーリーはめっちゃシンプルなんですよね。飛行機が落ちて、その乗組員が脱出するまでの物語。でもボストニアの現状、そして紛争の歴史を振り返ると、その物語は深い。スタローンとかシュワちゃんみたいに戦う映画ではないわけです。

そもそも戦闘機から緊急脱出したわけで、基本セットしか持ってない。
敵を超人的な能力でバンバン倒すわけでもない。ただ、逃げるだけ。

でもその緊張感は手に汗握る。

いつ捕まるんだ、どうやって助かるんだ?というドキドキとワクワク感がたまらにゃい。吹き抜ける風の音、何かにおびえる靴の音。そして迫り来る敵と死という恐怖。敵に見つかりそうになり、飛び込んだ無惨にも処刑された一般人の死体の山。そういった細かい描写、紛争と支配する側と支配される側。そして均衡と不均衡。平和に対する代償、そして紛争の現実を背景や描写を含めながら丹念に描いた名作です。

で、本作で個人的に良かったのは、主人公ではなく空母のレイガート司令官です。

最初は国連の軍の指揮に従って黙っていたけれど、自分の部下を死なせるくらいだったら、こんな地位は捨ててやるっ!とばかりに、自らヘリコプターに乗って助けにいく。ある意味でこっちが主人公なんじゃないか?と思う部分もあります。2以降はおすすめできないけど、これは是非です。