グレイトフル・デッドという名前を聞いた事が無かった。1960年代から活躍しているバンドで、ジャンルは定かでありません。ロックであったりカントリーであったり、本書ではグレイトフル・デッドのジャンルはグレイトフル・デッドと綴ってありますが、このバンドの凄さは音楽以上に独創的なマーケティングにあるわけです。少し前にクリスアンダーソンの「FREE」が話題になりました。最初は無料で提供し、気に入ったら有料課金で稼ぐ。アトムとビットという言葉も流行りましたが、それを遡ること40年以上前にFREEの概念を構築したバンドの話です。


通常、バンドやミュージシャンというと、CDが収益の源泉です。CDを売るためにライブを行う事が当たり前ですが、グレイトフル・デッドはCDで儲ける事を拒否したわけです。例えば、ライブではNGとされる録音を許可したり、写真撮影もOK。音源を無料で配布する事も認める。ただ、その上で革新的なマーケティング手法を取り入れているわけです。以下、過剰書きで説明します。

・CDを売るためのライブは行わない。
・1回の1回のライブが一期一会。即興あり何でもあり。
・ライブの録音スペースが設けられている。
・音源の無料配布を認める。
・個人の録音は認めるが、それと合わせてライブ終了後に高音質版のライブCDを発売。
・独自でチケットの販売を行う。チケットの直販。


つまり、音源のCDを売る従来のビジネスモデルからライブを中心としたマーケティングを行っているわけです。最近はライブというのが日本でも主軸になっていますが、それを40年以上前から行っている事には驚かされます。オリコン1位という概念が既に古い。ランキングが何位だろうが固定ファンを獲得できるミュージシャンは生き残るという事でしょう。フリーという概念でも音楽論という概念でも面白い本です。って考えると、エイベックスのように大手が一括管理という時代でもないんだろうね。