出版されたのが1998年だそうで、当時としては画期的な本だったと思います。例えば、ビジョナリーカンパニー的な位置づけでしょうか。ただ、これから15年以上経った今になって読み返すと、本当にこれは良い本なのか?勿論、名著である事は事実だと思いますが、そう思ってしまう。同じハワード・シュルツさんの本だと「スターバックス再生物語」の方をすすめますし、日本の著者が書いたスタバ関連の本も優れていると思います。本書の魅力はやはりスタバの成功物語ではなく、スタバが成功するまでの過程を知る事ができるという点だと思います。

スターバックスは元々、ハードシュルツさんが整設立した会社ではありません。別の方が経営していた会社で、のちにハワードシュルツさんが買収した企業です。元は喫茶店ではなく、コーヒー豆の販売を中心にした会社でした。最初はそこでシュルツさんが働いていわけですが、主張で訪れたイタリアのカフェの雰囲気。店主と客が陽気に楽しみながら談笑する。その文化に惹かれた。それをアメリカに輸入しようと思ったのが自分でコーヒー店を始めた原点でした。

スタバも順風満帆で成長してきたイメージがあるけれどその中には困難もあったわけです。最初の資金繰りに苦労した。当時はコーヒー店は斜陽産業だと言われていて誰も資金を提供してくれなかった。何度も何度も、何人も何人もの投資家と会って熱意を伝えた。それが功を奏して今のスタバがある。

一見すると革新的なイメージのあるスタバだけれども、その中はコーヒーに取り憑かれた人たちの結晶の塊なわけです。絶えずコーヒーに熱意と敬意を払う。これは「スターバックス再生物語」にも書かれている事ですけど、一時期のスタバが衰退し背景には、スタバ独特のホスピタリティが薄れてしまっていた。スタバが売っているのは、コーヒーではなく、その空間と感動なわけです。本当の意味でスタバはサービス業なわけです。

その熱意の原点を知りたい方にはおすすめです。