先日、書いたジョナサン・アイブを題材にした「ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー」という本。基本的にボクはあの本は好きになれませんが、その中でも気になって「なるほど」と思った点が幾つかあったので、改めて記事にしてみます。まず率直に言って、この言葉がアップルとジョブズ、そしてアイブの全てを物語っています。

ジョブズ:「アップルのどこが悪いか教えてくれないか 」(本編より)

これがアップルが製品においてデザインを会社の核に持って来た象徴的な言葉です。
アップルの製品をジョナサン・アイブが作っている事は間違いないですが、実は全ての製品をアイブがデザインしているわけではない。彼はデザイン部門のトップとして、デザインが円滑に進むように指揮をしているわけです。本書によれば、アップルのデザイン部門には真ん中に大きな机があって、そこには開発中の幾つものデザイン案が置いてあるそうです。iPhoneに関しても、元々はiPodを進化されたパターンと、現在のiPhoneに近い2つの案が同時進行で製作されていたそうです。

●CEOの権限を越えるデザイナー、アップル製品は俺たちが作る。

世間的にはアップルの最高経営者であるCEOはティム・クックですが、実はアップルにおいての最高権限はアイブにあるのではないか?とさえ思えて来ます。例えば、Macにしても部品の細部に至るまでアイブたちデザイン部門が設計を勤めるている。従来の企業でれば、まず開発部門がパーツを製作して、その上でお化粧をする。それがデザイン部門の仕事です。確かに、ジョブズ復帰以前のアップルもそれが常識だった。しかし、今のアップルは全てがデザイン主導で製品が作られている。お化粧はありえない(※本編の話)

一見すると、ジョブズがアップルに革命を起こしたように見えるけれど、ジョブスがした事は本書を含めて推測すると、ワガママを通した事。在庫は管理はクックが。そして、デザインはアイブが。ジョブズは自分の美意識にあった物を選べば良かった。iPhone6で熱狂的なユーザーを失望させたわけですが、アップルという会社は電話の会社でもパソコンの会社でもなく、素晴らしいデザインを売ってる企業なのです。スペックを買いたかったらAndroidを買えばいい。アップルはユーザーエクスペリエンスを含めて、デザインを売っているのだ。これがアップルとGoogleの違いだと本書を読んで思いました。

デザインを捨て、スペックを追ったらアップルは死ぬのだろう、、。