まず言っておくと、エンターテイメントとしてはマイケルムーア監督作品の方が優れています。ただ、エンロン事件自体はもの凄くエンターテイメント的で面白かったです。2007年公開ですが、サブプライム問題の発端がアメリカである事を考えると、エンロン事件やITバブルは歴史は繰り返すと言いますか、、。まず殆どの日本人はエンロンという会社すら知らないと思いますが、アメリカのエネルギー会社です。2000年台前半には売り上げ高17兆円で全米で7番目に売り上げの大きかった企業。しかし、その大企業もたった45日間で倒産してしまった。

インドでのエネルギー事業の失敗。オンデマンド配信での多額の損失を隠蔽する。そして、時価会計(つまり未来の利益を今の利益として計上する仕組みらしい)を利用して売り上げを何倍にも水増ししていた。会社がしていた事は「売り上げを増やして我々の会社は素晴らしい」と宣伝していた事。これはlivedoor事件直前のホリエモンと被りますが、巧みな会計操作を行って、アナリストすらその裏事情を見抜く事はできなかった。

そして、いよいよ粉飾決算がバレそうになると、電力網を独占していたカリフォルニアで意図的な停電を起こし、電気料金を暴騰させて数十億ドルを稼ぐ始末。最終的に経営陣はそれがバレる前に保有していたエンロン株を売り抜けたわけです。のちにインサイダーで収監されるわけですが、本当に、これは映画の話じゃないか?と思いますが、実話なのが凄いです。結果的に失業者2万人。そして株を保有していた年金基金の損失など、それはアメリカ全土におよぶ影響を引き起こしたわけです。

のちにワールドコム問題とかありますが、新しい金融手法が開発される度に金融問題を起こすアメリカはある意味でウォール街の実験場なのかもしれません。それは良いか悪いかは別として、、。日本語吹き替えはないですが、経済と金融に金融に興味があれば、おすすめです。