今でこそ、「Google」「アップル」「Facebook」など名だたる大手IT企業が集結するシリコンバレーですが、その成功の秘密に迫ったのが本書です。まず驚きなのが、本書が出版されたのが時を遡る事2001年という事です。Googleが創業して3年目、Facebookなんて存在してなかった時代。今では笑ってしまうけれど、本書にはネットスケープなどの話が載っている。で、情報が陳腐化しているのか?と問われれば確かにそうです。もしこれが最新の情報を元に2015年に出版されていれば結構衝撃的ですが、じゃあ学ぶ事はないのか?と問われれば答えはNOです。本書はITで成功する方法ではなく、より政治的に近い本です。

いかにシリコンバレーのように地域を生み出すか、、という事が綴ってあります。

●シリコンバレーだけがシリコンバレーになれた理由。

よくシリコンバレーが成功した理由として、ベンチャーキャピタルなどの説が有力視されますが、必ずしも全ての要因がそうとは限らない。一つの大きな理由が有名大学と研究所の存在でしょう。例えば、スタンフォード大学などがそうですし、アップルのスティーブジョブズがマウスのインターフェイスをパクった事で有名なゼロックスの研究所など、知識と人材が集まっていたという事がシリコンバレーが成功した大きな要因と言えます。

●同一の国の間では企業の誘致は消耗戦。。

これは面白かったです。例えば、日本ではシャープの亀山工場の建設の際に自治体が結構な補助金を出した事は有名ですが、アメリカでもそういった各州や各地によって優遇合戦になる場合があるそうです。ただ、同一国での戦いは消耗戦であって、国全体では得は無い。例えば、アメリカのある州では企業の誘致に補助金を大量に出す事によって、教育にかける予算が減ってしまった。200人の規模の学校に何倍もの学生が通い、プレハブで授業を受けているという話が載っている。結局、本当に素晴らしい環境を構築する事できれば、自治体が誘致しなくても、その地域に企業が集まる。つまりは、シリコンバレーのような例なわけです。

●日本にシリコンバレーを作れ。

本書では色々な提言のようなものが後半に書かれているわけですが、かいつまんで要約すれば、優秀な大学を作る事がまず先決だと言っています。その上で東京一極集中を危惧しています。日本の企業が東京に集中している理由は、東大や早稲田、慶応といったレベルの高い人材の確保が容易だという事が大きいと思います。ただ、高額な賃料や交通の混雑を考えると、東京に変わる新たな拠点を作る必要があるのではないか?それはつまり、本書で綴られたシリコンバレーの例を参考にすればできる、、という事なのだと思います。

是非、2015年最新版の本も読んでみたい所です。