基本的にボクは1000円シリーズの本はおすすめしてませんが、この本はこの価格の中ではコンパクトに要点がまとまっている本だと思います。最近は反日報道も沈静化して、今更中国?という感も強いですが、読み物としての中国は結構面白いです。

●1.中国は植民地国家?

これは多くの人が知ってますが、中国は民主主義ではなく共産主義であって、国の上に人があるのではなく、人の上に共産党がある社会です。本書でも書かれてますが、中国とはつまり植民地国家である言えます。それはそれで共産主義の理念である皆が平等の社会ではあれば良い方ですが、今の中国は共産党が国民が富を搾取する。結果的に共産党の利益を最大化する事が目的なわけです。

●2.賃金が上がれば外資は去って行く。

これが中国が抱えてる問題の一つです。世界の工場とされる中国ですが、別に中国に何か特別な力があるわけではなく、多くの外資系は中国の人件費の安さがあるから中国で生産しているわけです。私語ですが、ボクは先日ユニクロでジーパンを買ったら「メイドイン バングラディッシュ」と書いてありました。中国は輸出がなければ、経済を維持する事ができない。PM2.5の問題もありましたが、環境を無視してでも生産を維持する事が至上命題だったわけです。

●3.そして中国人も去って行く。

今、中国で富を得ている人の半分以上、たぶん6〜7割近くが海外移住を検討しているそうです。日系企業や外資ではなく、中国の事を一番恐れているのは中国の富裕層そのものです。環境も悪い、暴動も多い。そして後で書きますが、シャードバンキングによっていつ崩壊するか分からないバブルの状態。そりゃ逃げますよ、、。

●4.シャードバンキングで崩壊寸前の経済。

リーマンショック後の景気低迷の時に中国が打った経済対策。総額100兆円にもおよび資金を投入したわけですが、実はその多くが不動産に流れるてしまった。中国で田園に突然巨大マンションが建つ、しかし誰も住んでいなくてゴーストタウン化している場所が数多く存在しています。リーマンショックはジャンク債をバラバラに組み合わせて、格付会社にAランクの評価をさせるという仕組みでしたが、中国のは明らかにバブルであり、崩壊寸前なわけですね。だから、富裕層は資産が無くなる前に海外に脱出したいわけです。

●5.日本は中国が無くても困らない理由&株価が上がっても日本の景気が回復しない理由。

日本は中国に輸出しなくても大丈夫というのが本書の主題です。理由は簡単で、そもそも全輸出に対して中国に対する対する比率が低いからです。日本は輸出大国だ!だから円安にすれば景気は回復するのが、たぶん安倍政権などの大筋の見解でしたが、今110円近くに迫っても景気は良くならない。株価も上がっているのに景気は良くならない。それはつまり、日本は輸出大国でもないし、日本株の多くは海外の投資家が買っているからです。日本が復活する一番の近道は三橋さんも何度も言っていますが、デフレから脱出する事です。それはつまり、需要を創出する事です。

中国よりも韓国よりも日本の事を考えるべぎではないか?というのが裏テーマなのではないでしょうか。