ドラえもん劇場版35周年の記念作品と言う事で、めずらしく公開直後に映画館に行ってまりました。TOHOシネマズの12時からの回でお客さんは5人くらい入ってました。公開5日目で観客5人ってどうなんですか?本編を話を簡単に言うなら「見る前からの駄作感」。一応、劇場版35周年で力を入れたオリジナルっぽいですが、はっきり言って駄作です。去年ですか、「スタンドバイミードラえもん」を酷評しましたけど、それに匹敵するくらいドラえもんに対するリスペクトが感じられなかったです。

28

まず、全てにおいてバカにしている感が漂ってます。子供はこれぐらの内容でいいだろう、子供向けだからここで笑いが取れるだろう。という大人の判断が全て裏目に出ている。はっきり言う、我々が見て来たドラえもんはこれじゃないっ!これはドラえもんの形をした何かだっ!と、、。

●あらすじ。

ドラえもんたちが裏山で戦隊ヒーローの映画を撮影していた。そこには宇宙を漂流し、偶然にも裏山に不時着したポックル星の保安官であるアロンは、そこでのび太たちが巨大な恐竜と戦っている姿を見て、悪の海賊に支配されたポックル星を救ってほしいと頼む。最初はドラえもんの道具「バーガー監督」が演出した映画なのかと思っていたのび太たちであったが、実はそれ映画の撮影ではなく、現実だった。ひょんな事からポックル星を救うため、戦う事になったドラえもんとのび太たちの活躍を描く。

●ドラえもん=大スペクタクル。

本作全てにおいて意味不明です。まず本作の核となっている。映画の撮影だと思っていたら現実だった!という展開ですが、のび太たちは「映画の演出だろう」と思って何の疑いもなく宇宙に飛び立つわけですが、ドラえもん映画において前半ほど大切なものはない。スネ夫がパパに買ってもらった物を自慢して、のび太がドラえもんに頼む。その道具から派生する大スペクタクルがドラえもんの劇場版でしょ。そして、そこで起こる生死をかけた戦い。最初は嫌がるスネ夫に対して、ジャイアンが○○を助けるためだろう。友達じゃないか?という場面。「のび太の小宇宙戦争」のパピのように、ここでの決意が大切なのに、場面は展開してポックル星へ飛び立ってしまう。

●ストーリーが意味不明。

しかも、ポックル星を助けて欲しいと頼んだ割にアロン自身が宇宙海賊に乗っ取られそうになっている。という事実以外は詳しい事は知らないという事です。さらに笑い話ですが、最後の最後までポックル星の住民全員が何が起こっているのか知らない。ラスト3分くらいで、「あ〜助けて頂いてありがとうございます」みたいな展開があるわけですけど、全編通して敵の目的すら明確ではない。一応、イカロースという海賊の親玉が自分の命を助けるために、ポックル星のダイヤモンドで出来た月を爆破して、その中にあるグラファイトという物資を吸収するため。という設定があるわけですが、こいつが何なのか一切説明がありません。魔界大冒険で言う、デマオン的な存在だと思うんですが、まぁ100歩譲ってその存在が許せるとしても、最後はむちゃくちゃです。最後はのび太によって名前に由来するある物に変身するわけですが、あれだけ瀕死の状態だったのに、最後がそれ?というガッカリ感、、。

●ドラえもんにおけるタブー。

そして、ここがボクが一番納得できなかった点は、バーガー監督っていうドラえもんが出した道具の機能です。物語中盤で秘密基地からのび太たちが出撃するシーンがあるんです。エヴァンゲリオン初号機みたいな感じなんですが、そこである事をきっかけにのび太のパンツが枝に引っかかってしまう。それを見たドラえもんがバーガー監督のある機能を使うわけです(ネタバレは避けます)。それが実は最後の最後の伏線になっているという展開ですが、これは完全なドーピングでありタブーを犯してますよね。都合が悪くなったからタイムマシンで歴史を変えようというのと同じです。

●ドラえもんで伝えない事は無かったのか?

そして、何よりダメだった点が作品を通して何も通ったものが無いという事です。とりあえず、見せ場を作って盛り上げれば観客は喜ぶという安易な演出と脚本。ドラえもん映画の魅力はやっぱり成長ですよね。のび太の小宇宙戦争で言う、革命軍の基地で泣くスネ夫がしずかちゃんを助けるために、捨て身の行動に出るとか。日本誕生で言うククルたちとの友情を通して得られたもの。それがF先生イズムでしょ?雲の王国で、ドラえもんが捨て身の行動を取って「人間が環境を破壊するのはいけない事だけど、少しずつ人間は変わりつつある」というメッセージとか、、。

●怒りすら覚えた。

結局、何かゲストに人気タレントを起用して人気歌手の主題歌を付けて宣伝すれば30億円くらい稼げるドル箱だから良いよね。中身なんて子供の伝わらないでしょ。という製作陣のエゴしか見えませんでした。最後に星が救われて、真実を知ったポックル星の議員が「これでこの星も救われました」とか言ってましたけど、ふざけんなっ!ですよ。そして最後ののび太たちの、あの星が救われて良かったという満足そうな表情を見て怒りすら覚えました。

●観賞後のちびっ子の反応に驚いた。

これは結構衝撃的でしたけど、劇場で前の列の左と右に幼稚園かもう少し小さい子が居たんですが、映画が終わってジャケットを着てたら、両方の子供から「あ〜長かった」という感想が聴こえてきて耳を疑いました。メインターゲットの子供にそんな感想を言われたら本当に終わりでしょ、、。

是非、DVDでご覧になる事をおすすめします。