Amazonでめっちゃ絶賛させていたので気になって購入しました。

正直に感想を言うと、まぁ多くの方が絶賛するように英語教育に対する批判ですね、それに対して「よく言った」「正しい」という事は一理あると思います。が、ボクはどうしても結論ありきでは?と感じました。本書で綴られているように、日本語教育が曖昧の中で子供に英語を教える事を危惧する。そして、日本文化は優れているという点は正しいです。

でも本書の中で「英語は使えた方がいい」というメリットが殆ど語られない。ボクは著者の意見よりも、どちらかと言えば、コンサルタントの大前研一さんが言うボーダレス経済の方が納得できるわけです。


●英語教育は愚民化政策か?

まずボクは英語を学ぶ事は愚民化政策だとは思いません。確かに、日本語はおぼつかない小学生から英語を学ぶ事への批判は認めます。ただ、本書の最後に綴られている「英語教育の推進は欧米社会の陰謀」という主張は少し違う気がします。本書の核となるのは、要約すれば「日本語は素晴らしい文化であって、日本語を学ぶ事が世界に出る事である」という主張ですが、別に英語も日本語も学べばいい。著者はアフリカでは英語で授業が行われているが、別に世界の地位を獲得しているわけではないと主張しますが、そもそも英語が特別であるという事自体が認識違いです。

●世界の英語はネイティブと違う?

シンガポールの例も出てますが、これは著者の勘違いですが、世界の英語はネイティブではありません。シンガポールは共通言語として英語を国の言語として採用してますが、別に全員がネイティブに話せるわけではない。ある本によれば、シンガポールの英語では日本でお馴染みの「過去型」「現在進行形」といった概念は無くて、極論言うと「助動詞」なども省かれるそうです。要は伝わればいい。世界的にそれが標準であって、日本のようにネイティブ並に話させる事を目指す必要はありません。

●楽天批判は違う?

著者は英語教育推進派である楽天の三木谷氏を批判しますが、楽天が英語を言語として採用している理由は単純です。それは楽天がグローバル企業になるから。これはソフトバンクので孫さんの後継者となるニケシュ氏がインド系だという事もそうですが、将来的に楽天の社長が外国人になる可能性もあるわけです。それに、これはIT系の方は当然ご存知ですが、プログラミング言語は基本的に英語ベースなんですよね。優秀なエンジニアを採用するもしくは世界の技術リードを得るには、どうしても外国人を採用する必要がある。著者は三木谷さんの「たかが英語」という本を批判してますが、その本の中には基本は英語で喋るけれど、日本の加盟店などには日本語で対応すると書かれています。

●英語のメリットは語らない?

これはボクが非常に残念だった点です。英語を批判するのは多いに結構ですが、やっぱり英語が聞けるor喋れるという点に非常に大きいわけです。まず日本で翻訳されていない本を原書で読める。アメリカでは既に「イーロンマスク氏の自叙伝」も出てますし、「ネットフリックス」の本も出てます。これが翻訳されるかは出版社次第ですが、アメリカ人が読んだ後では既に一歩遅れている。さらに投資で言えば、アメリカ株の投資も出来るし、英語のニュースを英語で読めるかによって世界情勢に対する見方は大きく変わるわけです。この辺のメリットが殆ど語られてない事は非常に残念でした。

●両方やればいい。

というのがボクが本書を読んだ感想です。英語は何か文化的な臭いを感じるのかもしれませんが、あくまでツールです。そもそも不思議なのが政府はいつまでに英語を取得させるのか明確ではない事です。小学校低学年に日本語禁止の授業をさせる事は結構ですが、それを大学生まで続けるのか?という事ですよね。今の英語教育は殺人的に間違ってます。中学校から大学まて6年間勉強して殆どの人は英語を喋れない。これが根本の問題であって、例えば、中学3年までにTOEIC600点を目指すという事にすれば、余った時間を日本語、もしくは日本文化の勉強にあてられるわけです。

極論を言えば、小学校高学年までに英語の取得を完了させる。それで良いじゃないですか?
英語も日本語も必要、じゃあ両方やればいいんじゃない?というのが本書を読んだ感想です。

別に英語を学ぶ事は愚民化とは必ずしも=ではないのです。