ついに見ました。前作「おおかみ子供の雨と雪」これは本当に名作でした。

ジブリ無き今、ジブリの後釜に座るのは細田監督なのか庵野監督なのか?といった議論もありますが、否が応でも期待値は高いです。

正直に感想を言うと(いゃ勿論、完成度は高いんですが)複雑な感想です。

表面上で見れば完成度は非常に高くて満足です。

(特に、渋谷パートと渋天街(じゅんてんがい)パートにおける圧巻のCGとかね)

ただ、細かい表現的な部分を見ると(若干の荒さと言うか説明不足)があります。



●あらすじ。

母親を亡くし一人ぼっちとなってしまった少年・九太は、「強さ」を求めて、バケモノたちが住む「渋天街(じゅんてんがい)」に迷い込み、乱暴者のバケモノ・熊徹らとの出会いと修行の日々を通じて「本当の強さ」とは何かを学んでいく。

●感想。

まず若干の荒さとして、おおかみ子供と比較してそれほど2人の関係を掘り下げない。

たぶん母親と子供に対して、父親と子供という部分か描きにくかったのはあると思います。

おおかみ子供との比較ですが、あれは冒頭でおおかみである父親が亡くなってしまうわけです。

有名なセリフとして(しっかり生きて)という言葉もありますが、その辺がわかりやすかったのに対して、バケモノの子では父親役の熊鉄に加えて、人間社会での父親も存在するわけです。

その辺で悩む九太なわけですが、人間社会における失踪したはずの父親との偶然の再会。

そこが個人的には無理やりだったのかな?という印象です。

本の演出はおおかみ子供と比べてもさすが細田監督ですよね。本作では白鯨という小説が登場するわけですが、それを本編で内面的にも外面的にも利用している所は見事でした。おおかみ子供でも、ヒロインの花が図書館に通って調べるシーンが印象的でしたし・・。

あと、最後の最後で人間が抱える闇の擬人化みたいな場面があるんですが、結果的に九太が切ったものは何だったのでしょうか?

ただ、さすが細田監督ですよね。ラストの(おう見せてもらおうじゃねぇか!)という熊鉄とのシーンはさすがに涙無しには見られません。特に、終盤でのあのシーンの後ですからね。

ジブリ無き今、今後のアニメ界を担う存在である事は本作を見ていて強く感じました。

ただ、やはり規模を拡大した分だけ細部に対する荒さを感じる部分もあって、やはり宮崎駿監督という天才の凄さ(特に、天空の城ラピュタとか千と千尋とか)を感じさせられました。

娯楽作品として一級である事は間違いありません。

おすすめです。