ソニーが日本企業である事は多くの日本人が知っている事実です。ウォークマンやプレイステーションなど世界を変える画期的な製品を生み出してきました。創業者の1人である盛田昭夫氏がソニーの設立趣意書に書いた「自由闊達なる理想工場」という言葉は、あまりにも有名ですが、出井さんの「デジタルドリームキッズ」という表語であったり、ストリンガー氏のあまにりも日本を無視しアメリカ的経営。エレキのソニーから、実際には金融やエンタメが利益の土台を築き、本業のテレビ事業では7年にわたり累積赤字が数千億円規模に膨らんだ。そして、ストリンガーの後を引き継いだのが現在の平井社長です。僕ら日本人からすると、ソニーのトップが日本人という事が嬉しいわけですが、本書はそんな平井体制の1500日を語る内容です。
●まず膿を出す。
週刊ダイヤモンドや東洋経済などでソニーが取り上げられると、大抵の場合は批判的な事を書かれます。実際、平井体制になってソニーが数年ぶりの黒字決算を記録した事は事実ですが、それは資産の売却(DeNAやエムスリー株の売却)やソニーの品川オフィスの売却など付け焼刃的な部分が多いです。
その一方で、エレキに関しては膿を出す作業として、固定費の削減が着々と進んでいるのも事実です。「大企業病を変える」という表語の元で製品ごとに分社化を行う。例えば、テレビ事業にはテレビ事業の社長がいて、カメラ部門にはカメラ部門の社長がいる。それを最終的に統括する存在が平井社長の役割です。
やはり比較されるのがiPhoneで有名なApple社ですよね。ソニーと比較してAppleが圧倒的に優位な点は身軽さです。Appleには「iPhone」「Mac」「iPad」「iPod」ぐらいの商品しかない。対して、ソニーはテレビから映画まであらゆるものを販売している。一時期ネットで話題になりましたが、ソニー製品には30種類製品があれば30種類の充電器があるというものです。
ソニー全体の経営を1人で見るという事は本当に神ですよね。巨大コングマリッドの例でいえば、GEの伝説的経営者であるジャック・ウェルチ氏は1位か2位にならない部門は売却するという大胆な戦略。そして、年間1000億円近い人材育成費を投資して優秀な幹部を揃えるわけです。
かの有名な投資家ウォーレンバフェット氏は誰が経営しても上手くいくビジネスモデルを好むわけですが、現在のソニーがそれに値するのかは疑問です。たぶん、それを逆の象徴する例がストリンガー氏なわけですね。
というのが本書を読んだ率直な感想です。例えば、テレビは筆頭ですよね。家電の王様とも言えるわけですが、中国メーカーの価格競争力に勝つのは難しい。LG電子の有機ELテレビがたった1年で100万円から30万円に値下げしたように、爆発的なスピードで価格低下とコモディティ化が進んでいる。ちなみに、僕の自宅にあるテレビは中国のハイセンスものですが、もはや素人目には大手メーカーと遜色ないレベルです(もちろん、家電批評家が見れば違いは一目瞭然なのでしょうが・・)ソニーがこれから進む先は、テレビや家電の固定費を削減して利益率を上げる事だそうです。
結果的には、量ではなく質。悪い意味では、リストラによる収益の改善です。
というのが、平井体制におけるソニーの方針だそうです。ソニーが世界で高シェアを獲得するスマホ向けのイメージセンサー、これには独自の技術が満載で、たとえ同じ製造機械を中国メーカーが買ったとしても、同じ製品を作る事は難しいようです。テレビもハイエンド、カメラもハイエンド。その戦略は間違ってはいないと思いますが、開発と製造をきっぱりと分け、iPhoneに(この製品はカリフォルニアで設計して中国で作りました)と刻印するアップルと違って、ソニーはあまりにも図体がでかいような気がしてなりません。僕がソニーに対して思う事は、強さです。AppleにはiPhoneという爆発的なヒット商品がある一方で、じゃあソニーの本業って何なの?という事です。ブラビアでもないしエクスペリアでもない気がする。エンタメ部門でもソニーピクチャーズのヒット作品は何ですか?という質問に対して、ディズニーにおける「アベンジャーズ」みたいな表語があるわけでもない。
たぶん、今ソニーに求められているものはクリエイターですよね。スティーブジョブズみたいな存在です。少なくとも平井社長はクリエイターではないと、本書を読むとわかります。ただ本書にはインドにおいてサムスンに勝った男の言葉として、こんな言葉が載っています。
つまり、これこそがソニー復活の重要なポイントであるわけです。
ただ、その基本を忠実に守る事が我々が元来ソニーに求めている感動や驚きなのかは疑問です。
以上、SONYが復活するワケ「SONY平井改革の1500日」を読んで・・でした。
●まず膿を出す。
週刊ダイヤモンドや東洋経済などでソニーが取り上げられると、大抵の場合は批判的な事を書かれます。実際、平井体制になってソニーが数年ぶりの黒字決算を記録した事は事実ですが、それは資産の売却(DeNAやエムスリー株の売却)やソニーの品川オフィスの売却など付け焼刃的な部分が多いです。
その一方で、エレキに関しては膿を出す作業として、固定費の削減が着々と進んでいるのも事実です。「大企業病を変える」という表語の元で製品ごとに分社化を行う。例えば、テレビ事業にはテレビ事業の社長がいて、カメラ部門にはカメラ部門の社長がいる。それを最終的に統括する存在が平井社長の役割です。
●Appleとソニーの違い
。やはり比較されるのがiPhoneで有名なApple社ですよね。ソニーと比較してAppleが圧倒的に優位な点は身軽さです。Appleには「iPhone」「Mac」「iPad」「iPod」ぐらいの商品しかない。対して、ソニーはテレビから映画まであらゆるものを販売している。一時期ネットで話題になりましたが、ソニー製品には30種類製品があれば30種類の充電器があるというものです。
ソニー全体の経営を1人で見るという事は本当に神ですよね。巨大コングマリッドの例でいえば、GEの伝説的経営者であるジャック・ウェルチ氏は1位か2位にならない部門は売却するという大胆な戦略。そして、年間1000億円近い人材育成費を投資して優秀な幹部を揃えるわけです。
かの有名な投資家ウォーレンバフェット氏は誰が経営しても上手くいくビジネスモデルを好むわけですが、現在のソニーがそれに値するのかは疑問です。たぶん、それを逆の象徴する例がストリンガー氏なわけですね。
●もはやエレキでは勝てない。
というのが本書を読んだ率直な感想です。例えば、テレビは筆頭ですよね。家電の王様とも言えるわけですが、中国メーカーの価格競争力に勝つのは難しい。LG電子の有機ELテレビがたった1年で100万円から30万円に値下げしたように、爆発的なスピードで価格低下とコモディティ化が進んでいる。ちなみに、僕の自宅にあるテレビは中国のハイセンスものですが、もはや素人目には大手メーカーと遜色ないレベルです(もちろん、家電批評家が見れば違いは一目瞭然なのでしょうが・・)ソニーがこれから進む先は、テレビや家電の固定費を削減して利益率を上げる事だそうです。
結果的には、量ではなく質。悪い意味では、リストラによる収益の改善です。
●ソニーはハイエンドを売っていく。
というのが、平井体制におけるソニーの方針だそうです。ソニーが世界で高シェアを獲得するスマホ向けのイメージセンサー、これには独自の技術が満載で、たとえ同じ製造機械を中国メーカーが買ったとしても、同じ製品を作る事は難しいようです。テレビもハイエンド、カメラもハイエンド。その戦略は間違ってはいないと思いますが、開発と製造をきっぱりと分け、iPhoneに(この製品はカリフォルニアで設計して中国で作りました)と刻印するアップルと違って、ソニーはあまりにも図体がでかいような気がしてなりません。僕がソニーに対して思う事は、強さです。AppleにはiPhoneという爆発的なヒット商品がある一方で、じゃあソニーの本業って何なの?という事です。ブラビアでもないしエクスペリアでもない気がする。エンタメ部門でもソニーピクチャーズのヒット作品は何ですか?という質問に対して、ディズニーにおける「アベンジャーズ」みたいな表語があるわけでもない。
●今、ソニーに求められているもの。
たぶん、今ソニーに求められているものはクリエイターですよね。スティーブジョブズみたいな存在です。少なくとも平井社長はクリエイターではないと、本書を読むとわかります。ただ本書にはインドにおいてサムスンに勝った男の言葉として、こんな言葉が載っています。
「販売の基本動作とはごく簡単に言うと、正しい商品を、正しい価格で、正しい販路に流し、正しいお店の場所に、正しい状態で置く。この基本を徹底した」
つまり、これこそがソニー復活の重要なポイントであるわけです。
ただ、その基本を忠実に守る事が我々が元来ソニーに求めている感動や驚きなのかは疑問です。
以上、SONYが復活するワケ「SONY平井改革の1500日」を読んで・・でした。