ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義 (PHPビジネス新書)
藤野 英人
PHP研究所
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著者、藤野英人氏より献本御礼。

日本のお金は『外向き』と『内向き』の間をスイングする。本書はビジネスに役立つ日本史とあるように、日本史の中からビジネスに役立つ部分を凝縮して紹介しています。ウミヒコとは海外に出て革新的に事に望むこと、ヤマヒコとは内向きに内需や道路整備を行なう内向きな日本を総称した言葉です。日本は大昔からグローバルな環境に立たされていた。こう聞くと驚くかもしれません。著書ではその「ウミヒコ」「ヤマヒコ」の両方の歴史を紹介しつつ、今後、日本が学べる提言が紹介されています。
私は一つの仮説を持っています。「日本のお金は「外向き」と「内向き」り間をスイングする」というものです。日本人には二つのDNAがあります。海洋民族として海外に雄飛し、冒険を好む無DNAです。一方で堅実、地道にコツコツと頑張る農耕民族的なDNAもあるのです。企業にも、経済の姿にでも、二つの考えが入り交じりながら、そしてときには一方が強くなりながら、経済が動いてきました。

「ウミヒコ」と「ヤマヒコ」聞きなれない言葉ですが、本書の大きなキーワードとなるのがこの二つの言葉です。ウミヒコとは自由・変化・オープンといった開かれた時代を指す言葉、そして対照的なのがヤマヒコ。ヤマヒコとは平等・安定・クローズといった閉じた時代を指す言葉として本書ではたびたび登場します。日本は「ウミヒコ」と「ヤマヒコ」の間をスイングするというのは冒頭でも説明しましたが、ぞれぞれが良い悪いではなく、それぞれが短所であり長所を持ちながら、日本は成長してきたと言えます。ウミヒコな時代は中国が強い時代、ヤマヒコが強い時代は中国が弱い時代とになる場合が多いようです。

現代2011年は中国が日本をGDPで抜き世界第2位の経済大国となる事が確実視されています。そういう意味では間もなく「ウミヒコ」の時代が到来するのかもしれません。。
お客様の言葉、そして歴史から得た知識によって、私はお金について一つの考えにたどりついています。私はお金とは「幸せの缶詰」であると思います。(中略)幸せの追求は、お金を使うことで、得られる場合があります。今使い方が分からなくても、将来に使い道が見つかるのかもしれません。使い方次第でさまざまな力の源になりますし、社会を良くし、他の人を幸せにすることができます。「お金にはさまざまな可能性がある」という思いを、「缶詰」という言葉に込めました。

幸せの缶詰…言いえて妙ですね。僕は正直言って日本史や世界史といった暗記物がとても苦手です。人の名前を覚えるのだって大変ですし、物の名前をアレとかコレとは固有名詞を使わず代名詞で表現してしまう事が多々あります。この本も日本史という事で冒頭は戸惑いもありました。自分に理解できるんだろうか?そんな感想を抱いていました。しかし、「ウミヒコ」「ヤマヒコ」のうまいキーワードを軸にとても分かりやすく理解することができました。先人の知恵から学ぶ事とても大きい。日本は「内向き」「外向き」それぞれの変化を体験して成長してきた。変化を恐れずぞれぞれに適した対応をすれば乗り越えられると。

「私たちは過去の先祖点先輩たちがどのような局面に立ち向かったのかを学ぶ必要があると思います。歴史というのは年号の暗記だではなく、現代を生きる過去の知恵を学ぶべきではないかと考えています。」

この本で藤野さんが言いたい事の全てがこの文章に詰っているような気がします。

日本史が好きな人にとっては面白い日本史講座として、日本史が苦手な人にとっては歴史から学ぶ経済本として。どちらで読んでもとても興味深い新書であると思います。