伊藤Pのモヤモヤ仕事術 (集英社新書 607B)
伊藤 隆行
集英社 (2011-09-16)
売り上げランキング: 316

モヤモヤさまぁ〜ずのプロデューサーこと伊藤Pの著書。「やりすぎコージー」や「怒りオヤジ」などテレ東では異色の番組を作ってきたからこそ語れるテレビマンとしての誠実さが感じられる。「99%は凡人、1%は天才」という言葉が心に残った。あぁこの人はテレビを愛しているんだな、という事がひしひし伝わってくる。おわりでの伊藤Pの奥さんからの言葉がこの本を終結させていると思う。テレビ番組に限らずその精神やすべての人間に応用できる。いゃ、伊藤Pってこんな素敵な人だったんですね。(笑

皆さん、テレ東は民放の中でも弱小局として位置づけられる事はご存知でしょうか?「ガイアの夜明け」「なんでも鑑定団」「いい旅夢気分」など、やや大人っぽい局をイメージします。その対極にあるのかフジテレビでしょうか。他の民放局に比べると地方局が少ないというのも理由の一つです。テレ東はハンディを背負っている伊藤Pはそういいます。そんな弱小民放の中で伊藤Pは異色です。よく上から怒られているそうですが、ダルマさんがころんだをもじって「ハマグリが潮を拭いた」何て企画をやっているわけですから、そりゃ怒られます。本書はそんな伊藤Pへの仕事への姿勢や思いが数多く紹介されています。
誰でも自分の中の1%だけは天才です。
だけど、誰でも自分の中の99%は完全に凡人です。

この本で僕がお伝えできることは、このことだけです。これをいかに自分の中にしっかり抱けているか。行動できているか。それが必殺!「モヤモヤ仕事術」の全てです。
1%の天才をいかに強固なものにしていけるのか?この本の本質はそこにあると思うんです。
何かを目指すなら一回壊れることで、自分が本当に本気かどうかを確認できます。一回冷静に自分を見るのは、壊れる形でもいいし、ライバルに先を越されて悔しい思いをするでもいいし、「自己実現できないのはなぜか」と考えることでもいい。通過儀礼は人それぞれでいいと思います。壊れたらそこには丸腰しかありません。逃げないのなら…その丸腰で勝負するしかないのです。
よく人間には3つの才能が備わっているとと聞きます。それを僕はこう解釈しています。「人間には諦める時が2度訪れる、2回諦めて最後に残ったものがその人の天職なんだよ」と。丸腰で勝負する。その時に初めて自分に気付けるのかもしれません。
僕が理想とするテレビ番組ーというと大げさですが、こうあったらいいなと思うのは、チャンネルを回して「バカなことやっているな〜。あ、なんか元気が出てきた。明日はちょっと頑張れそうだな」と思える番組です。
僕にとってそれは「ウリナリ」だったり「めちゃイケ」だったりするし、日曜日のフジテレビ7時枠の「こち亀」だったりしてました。今は本当にバカやってるなーっていう番組は減りましたね。無難に落ち着いているというか、実際、テレビ局は予算削減が厳しいと聞きます。

この本を読んで思ったのは「真剣さ」「適当さ」の間にあるものなのかもしれません。
軸は真剣に。特には適当さも大切。テレビ離れという言葉を聞きます。ニコニコ動画やYouTubeを視聴する人も増えています。実際問題、10年後にテレビ東京が会社として存在しているのかも疑問です。しかし、こういうテレビマンが番組を作っている間はテレビというものが日本人の中に血液のように流れているんでしょう。

この本では「さまぁ〜ず」「大江アナ」「大橋アナ」など伊藤Pゆかりの人からのメッセージも添えられています。帯がさまぁ〜ず推薦というのが面白いですね。

最後のあとがきに注目です。もしかすると、涙がポリと落ちるかもしれません…。

DSCF5663