罪と音楽
罪と音楽
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小室 哲哉
幻冬舎
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Blogで本を紹介しちゃいます。


小室哲哉という人物に興味があって手に取った。時代の寵児と言われ、その資産は100億円とも言われていた頃。彼の中では解決できない悩みを抱えていた。このまま飛行機が落ちればいい、そうすれば僕の周りの人は喜ぶだろう。ある意味で感覚が麻痺していた。この詐欺事件もそんな麻痺から生まれたものなのかもしれない。この本は「罪」と「音楽」が二層構造になっている。罪を語る小室哲哉、音楽を語る小室哲哉。この本を読んで思った事は「彼には音楽しかないんだな」という事。ある意味で純粋な音楽家なのかもしれない…。

あの事件のことは今でも思い出す。白いバックを片手に検察の元へと向かう小室さんの姿。僕は正直に言うと、TKブームの世代なのかもしれない。でも当時、音楽には特に興味は無かった。何となく小室さんが凄かったなというイメージがあるだけ。それも漠然としたものだ。僕が小室さんの楽曲に真正面から触れてみたのはYouTubeが流行り出した頃だったと思う。そう考えれば小室さんの音楽と触れた期間は短い。でもあの小室さんの独特な声とシンセサイザーという楽器に魅了されていた。小室哲哉ってすごい人なんだな!その時に初めて知りました。

この本は二層構造になっていると書きましたが、「罪」の部分と「音楽」の部分。罪の部分では事件の経緯から投獄中の心境などが語られている。投獄中は音楽に触れなかった、妻である桂子さんに「飛行機の最終便の時間を教えてくれ」と聞いたなど、その時の心情がせきららに語られている。「「音楽家・小室哲哉」と「人間・小室哲哉」の二人三脚で、その道を走るだけだ。」この一文に小室さんの再起への意気込みを感じさせた。音楽の部分では昨今の音楽事情、つまり、なぜ音楽が売れなくなったのか?という事について書かれている。この本に90点を付けたのはその部分があまにも的確だったからだ。「幼児性を強めた原因は僕にある」小室さんの言葉を借りればそうなるのかもしれない。つんく♂と小室さんが音楽のわかりやすさを追求した結果が今にある。

音楽不況といわれる昨今、小室さんがミリオンヒットを達成できるのかは疑問が残る。
でも本人が言うように、やらなければならない。妻である桂子さん、エイベックスの松浦社長、そして小室ファン。このかけがえのない親友を手に入れた小室さん強いのかもしれない。がんばれ、小室さん。