マキコミの技術
マキコミの技術
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コグレマサト いしたにまさき
インプレスジャパン
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ネタフルのコグレさん。みたいもん!のいしたにさんアルファブロガー同士の共書。「クチコミの技術」の続編にあたる本です。時代はクチコミ→マキコミの時代へ。TwitterやFacebookなどのソーシャルネットが普及していく時代をいかに活用していくのか。企業でマーケティングを担当している人、ソーシャルネットに属している人に送る本書。Twitterの登場で一人一人の距離は劇的に近くなったと思う。友達と話す事もあれば、外国の知らない人は会話をする事だってある。ソーシャルはコストを劇的に低下させた。そんな時代が到来したのだ。

ひと昔前、何かネットで流行らそうと思ったら「クチコミ」が主流だった。(○○さんが良いって言ってるよ)という時代だ。しかし時代は2010年を機転に「マキコミ」(○○さん辺りで○○が流行っているよ)の時代へと変わりつつある。クチコミは企業のPR次第で起こすことも炎上させる事もできた。大量のサンプルを配ったり、それこそ、ネタフルさんやいしたにさんに献本や商品を送ればよかった。しかし、「マキコミ」と「クチコミ」の違いは前者は意図的に起こすことができないという事だ。本書では様々な事例が紹介されている。「日産自動車」「サントリー」の例が紹介されているが、共通するのが、どちらもコツコツと信頼を勝ち取っていたという事だ。サントリーではブロガーを招待した「すごいハイボールの作りかた」がネタフルさんを中心にマキコミの連鎖が起こった。ハイボールが今のように若者に定着した背景にはサントリーの地道な努力があるのが。「日産自動車」の6年間の積み重ねもしかり。Twitterで記者会見の模様をツイートしたり、ブログを定期的に更新し続けていた。クチコミが直線の連鎖だとするなら、マキコミは円形の連鎖反応だろう。
もし「ソーシャルメディアをマーケティングに役立てる方法を教えて」と尋ねられたら、成功までの単純なハウツーはないと答えるしかありません。
1.コツコツ「継続」によって土台を作る
2.コミニュケーションは「ギブ&キブ」の精神で
3.敏感に「変化のきざし」を見つけ対処する

ネットは「キブ&ギブ」の精神で行う。

ネタフルのコグレさんはネットで生活が一遍した人の1人だろう。Twitterで飲み会が開かれたり、Twitterで政治談議をしてみたり。その中で共通しているのは一方的な直進は嫌われるという事だろう。ソーシャルの時代には個人個人に決定権がある。その中でマキコミを起こすのは「ギブ&キブ」の精神だろう。一歩前にでる事。継続する事。決して、「キブ&テイク」ではない何か。この本を読んで強く思った事はネットは信頼で成り立っているいわば家族のような存在だという事だ。家族の中にも礼儀あり。そんな言葉があるが、相手の幸せを願い、相手に敬意を持って行動する事。信頼がネットの全てとはいわないものの、信頼こそソーシャル時代を生きる糧となるのかもしれない。
さて、そもそも「ソーシャルメディア」とはなんなのでしょうか?ぼくは、個人の情報発信を最小限としながら、人と人がつながることで作り出されるメディア、だと考えています。
本書ではマーケティング担当者向けの本なので、素人にはとっつきにくい部分もある。ただ、企業視点という部分を個人視点に置き換えても本書は成立する。ネットによって行った事例は我々ソーシャルを使う素人にも参考になる。とても読みやすい文体。ソーシャル時代を生き抜く解決策が見つかるかもしれない。