僕が子どもの頃、主に父親からよく言われていた言葉があります。それは、「1億円に1円でも足りなければ1億円にならないぞ!」というものでした。今から考えればお金を粗末に扱うな、という教育でしょう。大人になってお金を稼ぐようになって1円の重みは子どもの頃の何倍もずっしりしています。子ども頃、こんな事を言われた経験を持っている人は読者の中に何人かいるのではないでしょうか?

さて、最近ふと思った事ですが「1億円に1円足りなかった場合」実際の社会ではどんな影響が出てくるのか考えてみたくなりました。今回は想定として25歳の男性(企業経営者)を想定して考えてみようと思います。

●1円でも足りないとどうなるのか?

頭の固い人は、1円なんて何時でもあるじゃないか!という理屈を並べるでしょう。ここでの想定は全財産が1億円に1円足りない(9999万円9999円)だった場合の話です。1円でも足りない場合どんな問題が起こるのでしょうか?仮にある商談の席を例に説明してみょうと思います。

会社を起業したばかりのA氏はB会社のC氏との商談真っ最中だった。取引額は1億円。A氏とB氏は満面の笑みで商談成立。2人は握手を交わし、後日代金を入金する事を約束した。会社に帰ったA氏は早速、振込みの手続きを行おうとした。しかし、ふと見るとお金が9999万9999円しかない事が判明した。「どうすればいいんだ!」A氏は慌てふためく、このままじゃ商談が破談してしまう。と…。

問題について整理してみましょう。

・1億円1円足りない金額が全財産。
・1億円に1円足りないと商談が成立しない。
・1億円を期日までに送金できない。

以下のポイントを見て行きましょう。

・ATMで1億円振り込めない。

当然、この金額になると振込みは窓口対応だと思いますが、仮にATMで振り込む場合、小銭は使えないATMの場合、正確には(9999万9000円)しか振り込めません。1円の不足ならまだしも1000円の不足は死活問題です。あのー、1円足りないんですけど…。だったら100歩譲って成立すると思いますが、1000円の不足は信用に傷を付けてしまいます。もしもの場合…というか、大抵の人なら「コイツに頼んで大丈夫なのか?」と不安を抱くはずです。

・相手の信用を失う

ビジネスの世界は信用第一です。いくら良い企画であり商品であっても信用を失えば元の木阿弥です。商談は成立するとごろか破談。会社のイメージも等しく下げてしまいます。A氏のお金が不足していたのは全てA氏のミスです。相手に落ち度はありません。

●1億円に1円足りない場合の対処法

・誰かに借りる

これが最もオーソドックスな回答でしょう。友達や社員に(ちょっと1円貸してくれる?)と言えば大抵の人が貸してくれると思います。しかし、この場合でも人の信用を久しく落としてしまう可能性があります。冒頭で全財産が9999万9999円しかないと説明しましたが、1円は借りたら返さないとダメだと思います。ルール的に、というか信頼がそこで崩れ落ちてしまう可能性があります。この場合の1円は1万円の価値にも等しいと言えるのかもしれません。

・1円分のバイトをする

大体、コンビニの時給が800円ほどなので1時間働けば1円は回収できるはずです。フロムAとかバイトルドットコムなどで仕事を探す必要があります。ここでオススメなのが派遣の取っ払いのバイトですね。すぐ現金をもらえます。1分単位の労働はないので正確に言うと最低でも1日は働かなくてはなりません。

・取引先に土下座

これも定番と言えば、定番なのかもしれません。「社長、すいません!不手際で1億円用意できませんでした。9999万9999円で勘弁してください」と、誤れば許される場合もあります。場合という事は、ゆるされない場合もあると言う事です。信用を失って会社が倒産する可能性もあるのでご注意を。

●1円の価値は1円以上?

皆さんは、1円に幾らの価値があると考えているのでしょうか?紙幣や硬貨の原価を考えれば1円は1円の価値があるそうです。しかし、大抵の人が1円を1円以下の価値で見ているように思えます。僕のように、1円のおつりをコンビニの募金箱に入れている人も多いと思います。しかし、信頼の面で考えれば1円は1万円以上の価値があります。1円を稼ぐのもおもったより大変です。父親に言われた事がぴったりと当てはまっていますね。1円の価値は大きい。この記事を読んで1円君の価値が1銭でも上がれば幸いです。