ツリー・オブ・ライフ ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2012-03-07)
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今年、観た映画の中で間違いなく一番の問題作だと思った。50点という点数を付けたが、これはどちらにも取れる中間の点数という事で付けた。本作は良いという人は大絶賛だし、悪いという人は大批判という作品だ。本国アメリカンのAmazonでも☆5の評価と☆1の評価で真っ二つに分かれていた。正直に言うと、僕自身、この映画はあまり理解できなかった。映画冒頭、旧約聖書のヨブ記の一節が紹介される。そこには、こう書かれていた。

「全ては思うがまま、世俗に生きるか」
「全てを受け入れ、神の恩寵に生きるか」

観客に対して、これから聖書の内容を含んだ物語が展開されますよ。という掲示だと思った。アメリカ人からすればこの点は納得できる部分なのかもしれない。しかし、キリスト教という文化。もしくは聖書という文化が根付いていない日本人にとっては頭の中に「?」が流れた。間違いなく娯楽映画ではない何かが始まったんだと理解した。
1950年代半ばの中央テキサスの小さい田舎街。幸せな結婚生活を送るオブライエン夫妻と彼らの子供である3人の兄弟。父は、成功するためには「力」が必要だと考えている厳格な男。母は、自然を愛で慈愛に満ちた心で子どもたちを包み込む優しい女。11歳に成長した長男ジャックの心は、そんな両親の狭間で常に葛藤していた。大人になって成功したジャックは深い喪失感の中、自分の人生や生き方の根源となった、テキサスの小さな街4で家族とともに過ごした少年時代に想いを馳せ、自らの生き方を振り返る。
基本的なストーリーとしては、厳格で堅物な父親(ブラッド・ピット)とそれに反抗する息子たちの物語だ。子どもの頃の父親の記憶、人によって様々だろうが、本作に登場する息子も同じような悩みを抱えている。親に反抗するな!親のいう事を聞け!口答えするな!「父親を殺したいと思った」。立派な大人になって欲しい。対して、もっとのびのびと生きていたいと葛藤する息子の物語。大人になって気づく子どもの頃の思い出。父親を(ブラッドピット)が演じ、大人になった子どもをショーン・ペンが演じる。ふと頭の中をよぎる少年時代の思いで、厳格だったが子煩悩だった父親。やさしかった母親の思いで。一気に、頭の中はタイムスリップしてゆく。ハリウッドの2大スターが共演した作品。どちらも大スターだ。出演の際には間違いなく台本を読んで決めたのだろう。この作品のどこに惹かれ、どこに共感したのか。それは分からないが、何か訴えかけるものがあるのは間違いない。

厳格な父親ゆえ、ブラビもそれほど喋らないし、ミッション:インポッシブルのトム・クールズよろしく、ドバイのビルを、よじ登る派手なアクションをするわけでもない。この作品で面白いのが、ショーン・ペンを除いて全ての人物がかっこよくない点だ。不思議とブラピも2枚目を演じている。本作では宇宙の創造から未来まで人間の生と死に真っ向から挑戦している。ただ、前半に流れる20分の自然映像には眠気がピークに達していた。(笑)そこに、聖書はヨブ記の一節「全ては思うがまま、世俗に生きるか」「全てを受け入れ、神の恩寵に生きるか」。ここに父親と息子の思いが込められているのではないだろうか。この作品が分からないのはおバカさんだね。そんな事を言われそうな気がするが、分からないものは分からないと正直に言うきべだろう。

最後に一つ言いたい事は、この作品のラストだろう。大人になったショーン・ペンがズバっ!と素敵なラストを飾ってくれるのかと思いきや。何となく、ぐたぐたな結末で終わる。父親のその後も、3人の息子たちのその後も描かれないままだ。昔が良かったのか、今が幸せなのか。正直に言えば、観客に委ねている部分が多すぎると思った。もっと単純に監督はこんな意図で製作してますよー、というのが提示があればよかったかな。見る人から見れば傑作なんだと思います。

■ひと言映画評

これは借りないで、今月の21日にリリースされる「マネー・ボール」を借りた方がいいのかな?