ブラッド・ピット出演のハリウッド作品という事でレンタルを心待ちにしておりました。マネーボール [Blu-ray]posted with amazlet at 12.03.24ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2012-03-21)
売り上げランキング: 120
小説「マネーボール」を原作とし、実在の人物であるビリー・ビーンを元に描かれた作品。正直に感想を言えば、人によって評価が大きく分かれる作品でしょう。当時、アメリカの野球界では有名選手を次々に高額年俸で引き抜く事が問題視されていた。日本に当てはめるのなら、読売巨人が得意とする成金主義で高額年俸の選手を獲得する事が正解なのか、弱小チームでも戦略や理論を生かして勝利するのが正解なのか…という事だ。僕は野球といった子供の頃、父親とキャッチボールした経験と、「パワフルプロ野球」ぐらいしかしらない。しかし、本作は野球映画であって野球映画でない。
アスレチックスのGMビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、選手の補強どころか資金難。ニューヨークヤンキースやレッドソックスといった金持ちチームに有力選手を次々に引き抜かれていた。1億ドル対3000万ドル。このままでは勝つことはおろか、チーム破綻の危機が迫っていた。そんな時に出会ったのが、野球選手とは正反対の小太りの男ピーター(ジョナ・ヒル)だった。彼が重視するのは年俸や結果ではなく、出塁率。当時の野球界において斬新な方法で、通称マネーボールと呼ばれていた。ビリーが彼の助言に従い、高額年俸ではなく、問題はあるがお買い得な選手を次々にチームに加えていく。スカウトや仲間からは大批判が飛んでいた。しかし、ビリーは自分とピーターを信じ、アスレチックス優勝を目指す。
日本の清武GMと読売新聞のナベツネさんとの内紛。それはそれで物語性があるが、アメリカのGMはそれとは違う。勝負に対して真剣だ。どんな選手を起用して、どんなチームを作るのか。全てのチームが目指すのは優勝という二文字だ。
本作はやはり、ハリウッドとブラッド・ピットという2つが絶妙にマッチしているから作品として完成しているのだ。とにかく、本作ではブラッド・ピットがかっこいい。随所に盛り込まれている物を食べる仕草。これが5回ほどある。ナッツを食べるのにも、たた口に入れるのではなく、手から口にホイ!と投げ入れる。それが何んとも言えず素適。本作は、野球映画という題材をテーマにしているが、基本的に野球は脇役的存在だ。ビリー(ブラッド・ピッド)は馴れ合いになるからと試合にも顔を出さない。その時間、ジムで筋力トレーニングを行っている。元々は野球少年だったビリー。自然と昔の自分と今のチームを重ねてしまう。このままの戦略で大丈夫だろうか…影ながら悩み葛藤している。意味もなく高速道路を走ったり、過去の自分を投影してみたり。そんな彼を支えるのが娘の存在だ。楽器屋さん、そして電話越しでの彼女の歌声に勇気付けられている。
この作品は野球をテーマにしてるが、「メジャーリーグ」といった野球の名作とは一線を画している。1人の人間がもがき苦しみ、成長する物語だ。勝つ事が正義なのか、負ける事が悪なのか。この作品は人生の普遍的なテーマにも挑戦している。ちょっと固いけど、こんな生きかたもあるんだな…と、考えさせられる映画ですね。むしろ、野球初心者の方か観ると良いかもしれません。原作をチェックすると、より楽しめます。
■ひと言映画評
この作品を日本語吹き替えで観る人の要注意。ラストにある一文が紹介されます。それは英語表記で日本語吹き替えだと字幕が出ないので、日本語字幕でご覧ください。