まず、書評の前に著者であり森ビルの会長であった「森稔氏」への追悼の意を述べたいと思う。ヒルズ 挑戦する都市 (朝日新書 200)posted with amazlet at 12.05.18森ビル社長 森 稔
朝日新聞出版
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本書の出版が2009年だが、この本に出合えて本当に良かったと思った。
森ビルが手がけた代表的な再開発と言えば、あの「六本木ヒルズ」だろう。開業は2003年だが、GoogleやGREEなど時代を先どる企業が入居している。(ライブドア事件の時はイメージが低下したが)。この本はそんな「六本木ヒルズ」や「表山道ヒルズ」の再開発秘話が紹介されている。IT業界はドックイヤーでどんどん進化していく、半導体はムーアの法則のようにあっという間に技術は進歩してゆく。しかし、都市の再開発は違う。そには人が住み社会がある。その住民たちをいかに説得し、いかに円滑に再開発を進めるのか。六本木ヒルズでさえ20年という月日を再開発に要している。都市開発の重要性、都市の意義を本書は語っている。
本書は森稔という人物のイメージを180度いや190度変える。は誠実で真っ正直な人間だと。ヒルズの土地買収の時にも社員の制止を振り切り先頭で地権者と対峙する。彼が作りたかったのは土地の上昇で得られるキャピタルゲインとかインカムゲインとか、そんな小さいものではない。お金が欲しいだけなら緑地などを作らずその場所に、よりテナントを呼べる施設を設置すればいい。街丸ごとを安全に、快適に、社会の潤滑油となる場所を作ってたのだ。世界に冠たる都市、東京を世界最強の都市として再度浮上させる。これが、彼がやりたかった事だろう。
アークヒルズ
六本木ヒルズ
表山道ヒルズ
全てに共通している事は都市を変え、人を変えるという事だ。人が先で都市が後だ。
本書では「森ビルの半生」「森稔のポリシー」「未来都市東京の姿」の3部構成となっている。
森ビルの半生はまるで小説を読んでいるように面白い。
新居を立てると生活が変わる。35年ローンで買った家、そのうち子どもが社会人になり、孫が産まれ、老後の生活を始める。その機軸となのが家というものだ。それが森ビルで言うところの「六本木ヒルズ」だったりする。これから沢山の企業、そして人が六本木ヒルズで働き生活し、人生を歩んでくる。ただの箱物じゃない、将来の夢がいっぱい詰まった夢の宝箱だ。10年後、20年後、六本木ヒルズは前とは別物に進化しているだろう。そんな森ビルの歴史を紐解いてみたくないかい?
機会があれば、お読みくださいね。


