音楽不況…そんな言葉を何度となく耳にしてきた。かつては10万枚、100万枚がオリコンの1位だったものが、今や数千枚で1位が取れる時代になってきた。iPod、iPhoneの登場により音楽は形ではなくデータと化してしまった。スティーブ・ジョブズが音楽業界に革命を起こしたといっても過言できない。90年代CDバブルと呼ばれた時代は過去のものとなった。ネット上では、楽曲の質が悪くなったという説を唱えるものなのか?本当にそうなのか疑問が残る。本書「よくわかる音楽業界」は、そんな音楽業界の裏側に迫る1冊だ。よくわかる音楽業界 (業界の最新常識)posted with amazlet at 12.05.27三野 明洋
日本実業出版社
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関係ない話だが、僕が始めてCDを買ったのは生まれてから結構経った頃(それまで音楽なんて殆ど聴かなかった)、もう大人だったのかな?ピクミンのテーマ曲だった「ぼくたちピクミン、あなただけに付いている」ってやつ。その頃はCDプレイヤーで聴くのが当たり前の時代だった。MDに自分専用のライブラリを作って管理する時代でもあったが…。今の子どもたちに「ねぇねぇCDプレイヤーって知ってる?」「僕らの頃はMDっていうのに音楽を入れてたんだよ」と言ったら失笑を買うだろう。
音楽業界はここ10年で劇的に変化している。それまで大型アーティストに大量の広告費を投入し、ミリオン、もしくしはダブルミリオンを狙っていた時代。小室哲哉手法と呼ばれ、ドラマやCMでタイアップしてCDの売り上げを伸ばす。そんな時代だった。しかし、今やCMはレコーダーでカットするのが当たり前になった。「家政婦のミタ」を除けば、殆どが低視聴率。オタギリジョー主演の「家族のうた」が視聴率3%という別の意味で驚異的な視聴率を叩き出しのは、ある意味で衝撃だった。今、音楽業界は急速に多用化している。昔は友達に「何を聴いているの?」と聞けば、大抵は「あっそれ知ってる知ってるMステでやってたやつでしょ!」と答えが返ってきた。しかし、今や名前を聞いた事もないようなインディーズのバンドの名前を出され「あっ、そうなの…へぇ…そういうの聞いているのね。」と戸惑う場面があるだろう。時代とし、インディーズとして衝撃的だったのは「モンゴル800」が無名ながら口コミでミリオンを達成したことだろう。もう大型投資も大手レーベルも関係ない。自分が聴いて、良いなと思った楽曲をiPodに入れてヘビーローテーションする…そんな時代だ。
本書の中でも急速にインディーズ部門が拡大している事を指摘している。
最近の楽曲が売れないのは次世代を担う中堅アーティストに的確な投資が行われなかったからだ。という指摘もされている。楽曲の製作過程からレコード会社のルーツ。印税の権利といった音楽業界の常識が書かれている本。着うたや音楽配信の普及についても触れられている。音楽ファンとしては、業界の裏側を知るために、音楽業界に就職したい人にはお勧めな1冊だ。しかし、出版が2007年と古いのが残念だと思った。是非、2012年度版も作って欲しい。