前もって言っておくと「鋼の錬金術師」は単行本で3巻くらいまで読んだ記憶がある。アニメは第一作目の半分くらい観ているかな?だからキャラクターとか大体のストーリーは知っている。でも本作はハガレン初心者にこそ観て欲しい作品だと思った。「鋼の錬金術師」の劇場版と言えば、第一作目の「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」がアニメ版の最終回の2年後を描くという内容で、かなり高い評価を得ている。丁度、鋼の錬金術師の連載も終了し、さらなる映画化という事で、ハードルとしてかなり高いと思った。しかし、良い意味で期待を裏切ってくれた。ハガレンの賢者の石を廻る「生と死」を巧みに演出している。作品としての完成度は高いと思った。
アメストリスの首都セントラルにある中央刑務所。刑期終了を間近に控えたひとりの囚人が、この刑務所から脱獄を果たした。その男、メルビン・ボイジャー(声:森川智之)が操る強力な錬金術に興味を惹かれたエドワード・エルリック(朴ロ美)と弟のアルフォンス(釘宮理恵)は、男の跡を追ってアメストリスの西、大国・クレタとの国境を目指すことになる。彼らがたどり着いた先は、巨大な崖に周りを囲まれた街・テーブルシティ。かつて“ミロス”と呼ばれていたこの地で、ふたりはジュリア・クライトン(坂本真綾)という少女に出会う。彼女の言葉に導かれ、エドワードたちはこの地に隠された血塗られた歴史を知ることになるのだった……。
あらすじ 解説 鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星 - goo 映画
とにかくキャラクターが動く動く。最近のアニメというと固定でキャラクターがずっと喋っている…という印象が強いが、ある意味でアクション映画の分類に入るのかもしれない。それぐらい動く。かつて「ミロス」と呼ばれていた地の貧困と権力との戦い。脚本の真保裕一がどんな思いで書いたのか知らないが、色濃く社会を表現している点は興味深い。結局、人は永遠の命が欲しい。それは、ハガレン的に言う「賢者の石」なんだけど、それを手に入れるためには何かを犠牲にしなければならない。お馴染みの「等価交換」というやつだ。本作では人の命がその代償となっている。ジュリアの兄と賢者の石、そして、ミロス、クレタ族の人々との運命にエドたちが巻き込まれていく。いゃ偶然というより必然かな?

最後の戦いは必見です。賢者の石VS賢者の石。妹VS兄。命VS命。


過去に生き別れた兄弟が再び再開した場所、どんでん返し。兄に隠された秘密とは?兄弟の思いでのイヤリング。この伏線は好きですね。こういうアイテム一つにも気を配る配慮が作品の完成度を高めていくんだと思います。最後の最後、イヤリングは兄弟の絆を子どもの頃のように取り戻してくれる。

仲間を救うために自らを犠牲にする姿勢。人のために自分が死んでも良い。そういう価値観は現代っ子には当てはまらないかもしれないが、こうやって真っ向から人の命を扱う姿を見ると心に何かが残ると思う。結局、賢者の石では何も解決しない。エドたちを否定する事になるかもしれない。本作はファンの間では賛否が分かれる映画でしょう。原作とは無関係なストーリー。主役がエドではなくジュリアである事。お馴染みのギャグセンスが無い点など挙げたらきりがない。でも普通に面白かった。熱心なファンにとっては駄作かもしれない。でも僕は割りと好きだなこういうの。まぁ好みだけどね。

最後に2つ言いたい事は事は…。

エド、武器はそれだけか?
マスタング大佐は何故、出演したんだ?

詳しくは本編をご覧ください。(笑)