この作品は、21世紀の「E・T」といっても過言でないかもしれない。率直に面白かった。スピルバーグ製作の「スーパー8」と同時期に公開されながら、こちらをスピルバーグ監督が作ったのでは?と思わせる完成度の高い作品になっている。

SFオタクのイギリス人青年、クライブ(ニック・フロスト)とグレアム(サイモン・ペッグ)は、コミックの祭典とUFOの名所を巡る旅に出ていた。そんな時、エリア51の近くで出会ったのが宇宙のポール(声:遠藤純一)と出会った。彼は、60年前に不時着した宇宙人でアメリカによる過酷な実験から逃亡してきたのだ。最初は戸惑う2人だったが気さくな性格のポールにいつしか友情を抱くようになる。ポールを故郷の星へと返すためキャンピングカーでの旅が始まる。

基本的に旧来の宇宙人というと無口で怖いというイメージがあった。それは、「E・T」であれ「インディペンデンス・デイ」での宇宙人にしろ、地球を制服するために虎視眈々と人類を奴隷のように殺していく。それに対峙する英雄というのが一時代のアメリカの映画業界で流行った。しかし、本作「宇宙人ポール」はその常識を真っ向から否定する。気さくで優しい性格。陽気で時には過激な発言を連発する。時には、タバコだって吸うし、形は従来の頭でっかちな宇宙人ですが、それは今まで宇宙人とはまったく違う。ポールという名前は新約聖書の一人であるパウルの英語読みから来ているそうで、この映画は過去の数々のスピルバーグ作品、SF映画のオマージュだけではなく、聖書からの影響を受けているそうです。

最初に小鳥を蘇生した時点でオチは決まっている…そんな批判も聞きますが、本作の魅力は何んと言っても社会を背負っていないという点です。ハリウッド大作となると戦争・暴力・英雄・セックスと大体の相場が決まっていますが、その点も本作は違う。良い意味ではシンプルで悪い意味では単純。宇宙人ロードムービーと言っても過言ではありません。しかし、本作の魅力は逆の意味でそこではないでしょうか?宇宙人と地球人が仲良くなる。そんな友情あったっていいし、実際、ここにそれがある。戦争も暴力も好まない、そんな映画があったっていい。E・Tが友達の証として指と指を突き合せたように、同じ釜の飯を食って仲良くなる。

60年という歳月を経ても変わらない思い出。
宇宙人が思いでとか友情を語ったら変かな?クマのぬいぐるみと60年ぶりの再会は感動もの。

案の定、主人公は強くない。
でも友情は人一倍強い。

ばいばいポール、ありがとうポール。
そんなひと時を作ってくれた作品に感謝です。家族で観るには最適かと思います。是非、お近くのレンタルビデオ店で借りてみてください。