著名ブログ「みたいもん」のいしたにまさきさんの著書。いしたにさんはネット関連で数々の著書を執筆している人気ブロガーの1人。そんな、いしたにさんが著名ブロガー110人にアンケートをとってブログが成功する理由を考察しているのが本書の内容です。とても興味深い内容ですが、ただ個人的に思った事を書くと…出版された2010年からの2年間はリアルの10年分くらいある。という事でしょう。丁度、2010年というとTwitterが一般人にも普及し始めた頃だと思います。そんな中でTwitterを通してアンケートを110人分も集めた事は凄い事だと思います。

勿論、リアルでの交流も多い、いしたにさんの人望というものもあるのでしょうが、やはり110人分のアンケートの迫力は凄いです。ただ一つ問題なのが本書260ページに対してアンケートの部分が20〜30ページを占めるという点です。非常に細かい文字で複数の項目に渡って解答している点が読者としては少々の混乱を招きます。そもそも紹介されているブログはネット上ではかつては有名だったのでしょうが、熱心な読者でもなくグーグルで必要な情報だけ手に入れる一般ユーザーにとってはピンと来ないという側面があります。日本最大のブログである「GIGAZINE」すら一般のネットユーザーは知らない方が大多数なのではないでしょうか?いしたにさんがどの規模のブログを人気ブログとしてるのかは詳しく書かれていませんが、あくまで、いしたにさん目線での人気ブログという定義だと思います。

どんなアンケートが行われたのか?簡単にアンケート項目を見てみましょう。

アンケートの取得項目
・お名前
・Twitter ID
・ご自分のWebサイト、ブログなど
・いちばん好きなWebサイト(Webサービス含む)は?
・初めて見た時にいちばん衝撃を受けたWebサイト(Webサービスも含む)とその理由
・ネットで情報発信する際にいちばん必要な個人のスキルはなんでしょう?
・あなたがネットで情報発信する際に心がけていることは?
・あなたがネットでの活動を続けることができた理由はなんでしょう?なぜ続いてきたのでしょう?
・収入の変化はありましたか?
・収入の変化はどれぐらい経ってからですか?
・アクセス数を増やす工夫をしていますか?
・フォロワー数を増やす工夫をしていますか?

やはり読者として一番気になる点がどうやって、人気ブログとしての地位を築いたのか?という点でしょう。それを知りたくて買う読者が大半だと思います。しかし個人的な意見になりますが表面的な部分では、どうやってブログを成功に導いたのか?分かり辛い部分があります。基本的に本書の主張としては「長く続けることが成功の秘訣」という事に集約されるのだと思います。大体アンケートの統計を出すと3年間はブログの更新を続けた方が良い。という考えに行き着きます。しかし、個人的な見解を述べれば2010年のネットと2012年のネットはまったく別物になっていると言わざるおえません。それまで3年間必要だったものがたった数ヶ月で達成できる可能性だってある。それで飯を食う人が出現しているのだから驚きです。そもそも発信場所がブログからTwitterやFacebookに移り変わっているという側面もあります。別にブログで生計を立てていない人にっては、ブログよりも交流が活発なソーシャルメディアを選ぶ人は多いと思います。

実際、僕の知っているブログもここ2年ほどで更新停止に陥っているブログも多々見受けられます。

しかし、やはり幾らソーシャルな時代になってもコンテンツの発信元であるブログの存在価値というのは、もしかすると2010年よりも高まっていると思います。それはブログ全体の価値ではなく、ひとつの記事単位の世界に移行しつつあるという点も注目です。昔の「○○さんのブログ」ではなく「○○が書いてある○○というブログ」という認識に移行しつつあるのではないでしょうか?今やヒット記事を書けば1000RTなんて普通に起こる現象です。やはりTwitterの140文字の制限よりも、自分の思いの丈をびっしり込めたブログの記事の方が力があります。コンテンツの供給源としてのブログ。それに加えて従来からある検索経由でのアクセス。それを拡散するソーシャルネット。その3つが合いまったのが2012年という現在なのかもしれません。

あと2年後にブログの世界がどうなっているのか?内心、不安の一方でワクワクもあります。本書はある程度ブログに精通している人には参考になる本だと思います。やはり本という性質上、内容をアップデートできない点については旧来のメディアですよね。特にネット系は辛い…。